dancyu本誌から
dancyu3月号「日本酒 2019」絶賛発売中!

dancyu3月号「日本酒 2019」絶賛発売中!

dancyuが毎年冬に日本酒特集を組むようになって、今年で20年。3月号では全国729蔵の酒蔵アンケートから見えてきた「今の日本酒」の姿を、まるごとお伝えいたします。

感動の蔵、注目の酒。

表紙
dancyu2019年3月号
日本酒シーンにも、さまざまな変化や進化がありました。今号では、本邦初の「全国酒蔵アンケート」をもとにした大特集を組んでいます。

全国5つの「感動の蔵」のルポあり、「注目の酒」4ジャンルの大紹介記事あり。気になるお酒を少しずつ楽しめる東西の「立ち飲み店」や、日本酒と料理のマッチング記事も入魂です。

20周年を迎えた今年の日本酒特集は、例年にも増して見逃せません!
感動の蔵
注目の酒

通いたくなる 美味しい立ち飲み

毎日通えるネオ立ち飲み「コマル3」

明るい光に吸い込まれるように人が入っていく三軒茶屋の立ち飲み「コマル3」。
明るい光に吸い込まれるように人が入っていく三軒茶屋の立ち飲み「コマル3」。

立ち飲みは魔物だ。立って飲む、というスタイルの気軽さに誘われ、一杯のつもりが、去り際には足腰フラフラ、もう立ってられません、なんてフツーである。
言い換える。良き立ち飲みは魔物だ。けれど魔物には抗えないのが人、つまりは呑んべえなのである。もっといえば、街を彷徨うときは、そんな魔物に出会うことばかり願っている。いないかな、魔物。
で、近頃そんな魔物のごとき、“良き立ち飲み”が急増している。今時素敵系立ち飲みの特徴は、おおまかにいって三つ。一つには日本酒の銘柄が豊富。二つには肴が旨い。三つ、店も小綺麗。心技体、走攻守、守破離?ん?。とにかく三拍子揃っている。
だからなのだ。「東京の立ち飲み5軒行脚」なんてことを思いついてしまったのである。はーい、酔狂、よーいどん!

というわけでまずは、1軒目、三軒茶屋の「コマル3」へと向かった。
三軒茶屋からそこそこの距離を歩き、間違えたかなと思う頃、ふわっと姿を現すのがこの店だ。

三軒茶屋に「マルコ」、「ニューマルコ」と、着席の姉妹店がある。
三軒茶屋に「マルコ」、「ニューマルコ」と、着席の姉妹店がある。

そして、いきなり顔がほころんでしまった。カウンターが馬蹄形もといコの字酒場なのだ。この形、ぐるりと酔き笑顔に囲まれながら飲める、ということなのである。この時点でもうたまらんのだが、冷蔵庫を見て驚く。

価格帯別に4分割された冷蔵庫から、セルフで取り出す。
価格帯別に4分割された冷蔵庫から、セルフで取り出す。
地域や銘柄を問わず、新しい日本酒をどんどん仕入れている。ぐい呑み(120ml)500円~、一合(180ml)700円~、燗は半合からつける。
地域や銘柄を問わず、新しい日本酒をどんどん仕入れている。ぐい呑み(120ml)500円~、一合(180ml)700円~、燗は半合からつける。

ずらり並んだ一升瓶。日本酒の品揃えは常時70種を数えるというのだ。いっぺんに全部飲んだら天国まっしぐらなので、夢見心地で迷う。もちろん相談してもいい。酒好きのスタッフの言葉は的確で、こちらのツボをきゅっと押すような一本を選んでくれるのである。

そうして手にしたのは「酔楽天 大吟醸」限定醸造の一杯だ。ぐっとやり、いよいよつまみを選ぶが、これがまた迷う。黒板にずらっと旨そうな文字が並ぶ。数えたら30ほどあって、さらに迷わせるのが、カウンターの内側から漂うおでんの香りである。

総括ジャーマネの三木達也さんが手塩にかけるおでんは100円~。
総括ジャーマネの三木達也さんが手塩にかけるおでんは100円~。
料理は紙に書いて注文し、キャッシュオンで。
料理は紙に書いて注文し、キャッシュオンで。
おでんに付いてくる薬味の黒七味辛子や柚子白味噌も、日本酒を呼ぶ。
おでんに付いてくる薬味の黒七味辛子や柚子白味噌も、日本酒を呼ぶ。
一度頼んだお客さんは、次も必ず注文するという“大間の松前漬け 雲丹と生ノリワサビ”600円。
一度頼んだお客さんは、次も必ず注文するという“大間の松前漬け 雲丹と生ノリワサビ”600円。
お店ごとに個性を放つ“ホースラディッシュとコンビーフのポテサラ”500円。
お店ごとに個性を放つ“ホースラディッシュとコンビーフのポテサラ”500円。
揚げ物の種類も豊富で、お薦めは手のひらサイズの“柿栄のアジフライ”400円。
揚げ物の種類も豊富で、お薦めは手のひらサイズの“柿栄のアジフライ”400円。

鰹節と目刺しを目の前にしながら、背後でマタタビを焚かれている猫みたいな気持ちでようやく選んだトロといぶりがっこの極上バクダン。

本鮪のトロが入った“トロといぶりがっこ極上バクダン”500円
本鮪のトロが入った“トロといぶりがっこ極上バクダン”500円

ことのほか冷たい酒によく合い、「もう行脚なんかしないで、ずっとここにいたらいいじゃない」「ダメ絶対」と脳内でのせめぎ合いが早くも始まったのだが、必死に後ろ髪を断ち切る。そして向かった2軒目が、学芸大学の「圭」であるーー。

加藤ジャンプさんが巡る、東京の立ち飲み行脚はまだまだ続きます。ぜひ本誌を御覧ください!

店舗情報店舗情報

コマル3
  • 【住所】東京都世田谷区太子堂5-15-12
  • 【電話番号】03-6804-0503
  • 【営業時間】18:00~翌1:00(L.O.)、日祝は17:00~22:00(L.O.)
  • 【定休日】無休
  • 【アクセス】東急田園都市線、東急世田谷線「三軒茶屋駅」より7分
dancyu2019年3月号
dancyu2019年3月号
第一特集:日本酒2019
第二特集:醤油せんべい

A4変型 判( 200 頁)
2019年02月06日発売 / 880円(税込)

文:加藤ジャンプ 写真:本野克佳

加藤 ジャンプ

加藤 ジャンプ (文筆家)

1971年東京生まれ。横浜と東南アジア育ち。一橋大学卒業後、出版社勤務をへてフリー。酒と酒場、肴と酔っ払いを愛し、コの字酒場探検をつづける。著書に「コの字酒場はワンダーランド」(六耀社)などがある。テレビ「二軒目どうする?」(テレビ東京系)のおつまみさんとしても出演。ときどき絵も描く。