
休日のランチにパスタをつくるような手軽さで、ちらし寿司をもっと身近に、もっと楽しく味わおうというこの連載。第23回は「まぐろの漬けといちじくのちらし寿司」を、マイマイ先生こと料理家の真藤舞衣子さんに教わりました。
暑い日はまだ続きそうだけれど、少しずつ季節の移ろいを感じるこの頃。秋は秋で、旨いものがたくさんありますよねえ……。マイマイ先生、ちょっと季節を先取りしつつ、お酒も進んでしまうようなちらし寿司ってありませんか?
「秋にかけて甘味が増してさらに美味しくなる、いちじくを使ったちらし寿司はいかが? フレッシュないちじくと相性のいいブルーチーズ、そしてここにまぐろの漬けを合わせます。これはねえ、間違いなくワインを欲するちらし寿司ですよ!」
いちじくとブルーチーズの組み合わせは想像がつくけれど、まさかまぐろの漬けとは! どんな味わいになるのか、早速つくってみましょう。
| まぐろ | 1柵(赤身、刺身用、150g) |
|---|---|
| いちじく | 2個 |
| ブルーチーズ | 30g |
| 胡桃 | 20g |
| 紫玉ねぎ | 10g(みじん切り) |
| オリーブオイル | 大さじ1 |
| 醤油 | 小さじ2 |
| 黒胡椒 | 少々 |
| ★ 寿司飯 | |
| ・ 米 | 1合 |
| ・ 昆布 | 5g(乾燥) |
| ・ 水 | 180ml(米と同量が目安) |
| A | (*1) |
| ├ 赤酢 | 大さじ1.5 |
| └ 塩 | 小さじ1(*2) |
*1 Aはよく混ぜておく。
*2 天然塩は小さじ1、食塩は塩味が強いので半分の量から調整するとよい。
水、昆布を入れて1時間ほど吸水させた米を炊く。
深めの大皿や大きめのボウルに炊き上がったご飯を移す。Aをよく混ぜてご飯にまんべんなくかけ、団扇などで軽く扇ぎながらしゃもじで切るようにご飯をほぐしていく。粘りが出てしまうので、混ぜ返さないようにするのがポイント。湯気が落ち着いたら扇ぐのを止める。
*寿司飯についてさらに詳しい解説は、こちらをチェック
まぐろは食べやすい大きさのブツ切りにする。ボウルにまぐろと醤油を入れてさっと混ぜ、ラップで落とし蓋をして冷蔵庫で30分以上漬ける。
いちじくは皮をむき、まぐろブツと同じぐらいの大きさに切る。胡桃は細かく切っておく。

寿司飯を皿に広げて、まぐろの漬けといちじくを満遍なくのせる。いちじくは赤い身のほうを上にすると見栄えがよくなる。ブルーチーズ、紫玉ねぎ、胡桃はそれぞれ少量ずつ隙間を埋めるように置いていく。仕上げにオリーブオイルと黒胡椒をふる。


ローズピンクの断面が瑞々しいいちじくと、ルビーのように輝くまぐろ。一見しただけではちらし寿司とは思えない美しさだ。口に運ぶと、まぐろの漬けは醤油をあまり感じず、赤身の味わいを引き立てている。赤身のねっとりした旨味とほのかな酸味が、いちじくのトロッとした食感と濃厚な甘味としっくり溶け合う。それらをとりもつのがブルーチーズの塩味と青カビの刺激、そして赤酢の寿司飯の柔らかな酸味と甘味だ。時折挟み込まれる胡桃の香ばしさもいいアクセントになっている。
「このちらし寿司には、マスカット・ベーリーAやガメイのように、チャーミングなジャムっぽさを感じる、あまり濃すぎない赤ワインが最高に合いますよ!」(真藤さん)
いちじくとまぐろの漬けの意外な相性の良さに、ワインも喜ぶ美味しさ。日が落ちて少し涼しい風が吹いて来た頃に、ワイングラスを傾けつつ味わいたい絶品ちらし寿司でした。


東京生まれ。会社勤務を経て、京都の大徳寺塔頭(たっちゅう)にて1年間生活。フランスに料理留学後、発酵研究家、料理家の活動を開始。雑誌や書籍、料理教室、講演など多方面で活躍。近著に『サバの味噌煮は、ワインがすすむ』(小泉武夫氏と共著、日経BP)、『つくりおき発酵野菜のアレンジごはん』(主婦と生活社)がある。
文:宮内 健 写真:伊藤徹也