
暑いからこそ、パンチの利いたものが食べたくなる! 発売中の「dancyu」夏号では、旨くて辛くて香りがよくて、思わずお腹が鳴るような肉たっぷりの中華を特集しています。今回はその中から、クミンとミントが香る、夏にぴったりな焼売レシピを紹介します。
小さな焼売を持ち上げた瞬間、手に伝わってくるみっちりとした感触。ほかほかにかじりつくと、羊肉ならではの少しくせのある風味の中から、クミンの芳香が弾けた。パンチのある味わいに、ふわりと爽やかなアクセントをプラスしているのがスペアミント。エキゾチックなその味は、中国の北のほうへ行ったらありそうな、中央アジアのどこかで出会いそうな、なんとも旅心をそそられる一品なのだ。
ハーブやスパイスなどをふんだんに取り入れた、オリジナリティーあふれる中国料理で人気を博す「O2」。ふだん店ではコース料理を供するが、ときどき参加するイベントなどで大好評を得ているのが焼売。本誌主催のdancyu祭に出店時も、なんと6000個が売り切れたというから驚きだ。
「きっかけはコロナ禍のテイクアウト営業から。ちゃんと数えたことはないけれど、これまで30種類くらいはつくってきたと思います。ラムとミントの組み合わせは、夏らしい焼売をつくりたくて爽やかなハーブをと考えてやってみたら、とても相性がよかったんです」と、店主の大津光太郎さん。
たっぷりの黒胡椒入りや、ほろ苦いふきのとう、弾ける食感のとうもろこしなど旬の野菜を加えたり、ときにはカカオやオレンジピールを合わせるなど。大津さんの焼売を食べると、小さな1粒でこんなに豊かな表現ができるのかと毎回感心させられるが、その中でひと際、肉肉しい食べごたえを感じられるのが、ラムミント焼売である。
「ラムの挽き肉は一般には入手しづらいので、ジンギスカン用などのスライスを叩くといいですよ。脂が適度に入っているものを選んでください。ミントは、ペパーミントだと強すぎて全体をミントが支配してしまうので、スペアミントがおすすめです」。
材料を揃えたら、肉だねづくりはあっという間。はじめに挽き肉と保水のための砂糖を混ぜることや、玉ねぎに片栗粉をまぶして加えるタイミングなど、要点さえ押さえれば難しい作業はない。練りたての脂がゆるんだ状態ですぐに包んで蒸すと形崩れしてしまうので、しっかりと冷やしておくのも肝心。皮に包む作業は、慣れるとだんだんスピードアップできて楽しくなる。
仕込みはささっと、火を使うのは蒸すときだけ、という点でも、暑い季節にはありがたい一品ではないだろうか。むっちりした皮にラムとミントがぎゅぎゅっと詰まった、ザ・夏の焼売。ビールを冷やしておくのをお忘れなく。
| ラム挽き肉 | 375g(*) |
|---|---|
| 砂糖 | 3g |
| A | |
| ・ 塩 | 6g |
| ・ オイスターソース | 7g |
| ・ 胡麻油 | 20g |
| ・ ねぎ油 | 10g(市販品で可) |
| ・ 溶き卵 | 30g |
| ・ クミンシード | 4g |
| スペアミント | 14g |
| 玉ねぎ | 100g |
| 片栗粉 | 25g |
| 焼売の皮 | 約30枚 |
*ラム挽き肉が入手できない場合は、ジンギスカン用のスライスを包丁で叩くか、フードプロセッサーで挽く。
スペアミントは軸ごとみじん切りに、玉ねぎは粗みじん切りにする。

ボウルにラム挽き肉と保水のための砂糖を入れ、手でよく混ぜ合わせる。

2にAをすべて加えて円を描くようにしっかりと混ぜ、油がしっかりと混ざり合い全体が白っぽくなったら、1のミントを加えて軽く混ぜ合わせる。


1の玉ねぎに片栗粉をまぶしてから、3に加えて全体が合わさる程度にざっくりと混ぜる。このまま冷蔵庫で3時間から一晩寝かせて肉だねをしっかりと冷やす。

冷やした肉だねを1個20gを目安にバターナイフなどに取り、焼売の皮にのせる。ナイフを差した状態で上下を返し、手でキュッと握ってナイフを抜く。表面をナイフでならし、胴の部分にくびれをつくるように軽く握る。このとき、いったん下に置いて底面が平らになるよう整えると土台がより安定する。

蒸籠に白菜の葉かオーブンシートなどを敷き、5を間隔に余裕をもって並べ、強火で10分蒸す。仕込んだものはすべて蒸し、余った焼売は小分けして冷凍しておくとお弁当などに便利。



「トゥーランドット」脇屋友詞氏に師事した後、「O2」開店。今年8周年を迎えたのを機に、4月からコース内容を一新し、使用する食材もさらにグレードアップした。イベントでの提供が主だった焼売もレギュラー入り。


文:鹿野真砂美 写真:福尾美雪