
昆布の風味と旨味が豚肉にもしっかり移った、一体感のある昆布巻きです。荻野恭子さんの目からウロコのおせち論と毎年挑戦したくなる、気楽なおせちづくりを紹介します。
家庭で本格的にニシンの昆布巻きをつくろうと思ったら、時間がかかるし本当に大変です。
鮭などを巻いてもいいけれど、ふと、早煮用の昆布を使って薄切りの豚肉を巻いたら、子供受けもよく、大好評でした。


直火でなければ、ポリ袋で加熱調理もできます。高温になりすぎないように、蒸気で蒸せばいいのです。
家にある一番大きな蓋付き鍋に、穴の開いたプレートを敷けば蒸し器になって、一つの鍋で複数のおせちが同時につくれます。
鍋の湯が沸騰して蒸気が上がったら弱火にし、その後はずっと弱火で。蒸し時間の長いものから鍋に入れ(鍋肌に当たらないように注意)、時折、湯を足しながら、時間がきたら取り出す。
煮汁が煮詰まる心配がないので、少量の煮物も上手につくれますよ。

| 早煮用昆布 | 20cm×4枚 |
|---|---|
| 豚薄切り肉 | 4枚(肩ロース。こま切れを広げて使っても) |
| A | |
| ・ きび砂糖 | 大さじ1 |
| ・ 酒 | 大さじ1 |
| ・ 醤油 | 大さじ1 |
| ・ 味醂 | 大さじ1 |
| ・ 水 | 1/2カップ |
ポリ袋に、水にサッとくぐらせた昆布を入れて少し置く。

昆布がしんなりしたら、昆布1枚に豚肉1枚をのせてくるくると巻く。巻き終わりに余白があるときれいに巻ける。

昆布の巻き終わりを下にして1のポリ袋に戻し、Aの材料を加える。袋を揺すってきび砂糖をよく溶かし、全体になじませる。

空気を抜いて袋の口を閉じる。さらに二重にして口を閉じ、蒸し器に入れて、弱火で40分蒸す。



和食、フランス料理、中国料理をはじめ、世界65カ国の家庭料理の知恵を備えた料理研究家。アジア諸国で目にしたポリ袋の活用方法に着想を得て、早くからポリ袋調理を提唱。著書に『ポリ袋漬けのすすめ』(文化出版局)ほか多数。
この記事はdancyu2021年1月号に掲載したものです。

文:岡村理恵 写真:工藤睦子