
醤油と酒、味醂の甘辛い幽庵だれに、柚子がふわりと香ります。荻野恭子さんの目からウロコのおせち論と毎年挑戦したくなる、気楽なおせちづくりを紹介します。
ぶりは出世魚の代表格。その焼き物で新年を祝います。
少量の切り身でも、丁寧に準備しておけば好きなときに焼きたてを楽しめます。


調味料が少量で足りるのも、ポリ袋調理のよさです。
空気を抜いて密封すれば、調味液が素材全体に効率よくからみ、味がよくなじむ上に、コンパクト。そのまま冷蔵庫に入れられますから、ポリ袋での漬け置きは理にかなっています。
甘酢漬けのほか、肉の焼き漬けや、魚の下味つけなど汎用性も高いので、普段のおかずにも活用してください。

| ぶり | 2切れ(切り身) |
|---|---|
| 塩 | 小さじ1/4 |
| A | |
| ・ 醤油 | 大さじ1 |
| ・ 酒 | 大さじ1 |
| ・ 味醂 | 大さじ1 |
| ・ 柚子 | 適量(皮のせん切り) |
ぶりは半分に切って塩をふり、15分ほど置く。

出てきた水気をしっかり拭き取る。このひと手間で臭みが取れる。

ポリ袋にぶりとAの材料を入れ、袋の上からもみ込んでなじませる。空気を抜いて口を閉じ、30分~半日ほど置く。

グリルで両面をこんがり焼く。調味液で焦げやすいので、程よく焼き目がついたらアルミホイルをかぶせる。仕上げに残った調味液を塗って、照りをつける。



和食、フランス料理、中国料理をはじめ、世界65カ国の家庭料理の知恵を備えた料理研究家。アジア諸国で目にしたポリ袋の活用方法に着想を得て、早くからポリ袋調理を提唱。著書に『ポリ袋漬けのすすめ』(文化出版局)ほか多数。
この記事はdancyu2021年1月号に掲載したものです。

文:岡村理恵 写真:工藤睦子