
肉の旨味と甘めの風味が絶妙な一品です。ちょうど良い分量だけつくれるのも嬉しいポイント。荻野恭子さんの目からウロコのおせち論と毎年挑戦したくなる、気楽なおせちづくりを紹介します。
肉だねに、白味噌が入る“松風(まつかぜ)”。正式なつくり方だと、肉だねに卵も入れて、流し缶を使ってつくるので、どうしても量が多い。そこで、味よく、最小限の分量でつくれるように工夫しました。
本来は、仕上げにケシの実を散らしますが、白胡麻でも十分です。


直火でなければ、ポリ袋で加熱調理もできます。高温になりすぎないように、蒸気で蒸せばいいのです。
家にある一番大きな蓋付き鍋に、穴の開いたプレートを敷けば蒸し器になって、一つの鍋で複数のおせちが同時につくれます。
鍋の湯が沸騰して蒸気が上がったら弱火にし、その後はずっと弱火で。蒸し時間の長いものから鍋に入れ(鍋肌に当たらないように注意)、時折、湯を足しながら、時間がきたら取り出す。
煮汁が煮詰まる心配がないので、少量の煮物も上手につくれますよ。

| 鶏挽き肉…250g | |
|---|---|
| A | |
| ・ パン粉 | 20g |
| ・ 味噌 | 20~30g(好みのもの) |
| ・ きび砂糖 | 大さじ2 |
| ・ 味醂 | 大さじ1 |
| ・ 酒 | 大さじ1 |
| ・ 醤油 | 小さじ1 |
| ★ 仕上げ用 | |
| ・ 味醂 | 適量 |
| ・ 白煎り胡麻 | 適量 |
ポリ袋に挽き肉とAの材料をすべて入れる。

ポリ袋を両手で挟んで、すり合わせるようにしてよく混ぜる。

挽き肉を袋の底に集めてまとめる。厚さ1.5cmほどの長方形に整え、ポリ袋の端は畳む。蒸し器に平らに置いて、弱火で20分蒸す。指で押して、弾力があれば蒸し上がり。

粗熱が取れたら袋から取り出し、魚焼きグリルなどでこんがり焼く(火は通っているので焼き色がつけばよい)。表面に味醂を塗って白胡麻をふる。



和食、フランス料理、中国料理をはじめ、世界65カ国の家庭料理の知恵を備えた料理研究家。アジア諸国で目にしたポリ袋の活用方法に着想を得て、早くからポリ袋調理を提唱。著書に『ポリ袋漬けのすすめ』(文化出版局)ほか多数。
この記事はdancyu2021年1月号に掲載したものです。

文:岡村理恵 写真:工藤睦子