
その日のうちに出来上がる爆速黒豆!きび砂糖で味をつけることで、上白糖にはない、コクを感じる甘さに仕上がります。荻野恭子さんの目からウロコのおせち論と毎年挑戦したくなる、気楽なおせちづくりを紹介します。
時間がかかるおせちの筆頭、黒豆煮も、荻野式ならその日のうちに出来上がり!
2時間も鍋に入れておけば、十分に火が通ります。
調味液に長めに浸しておいてから蒸せばおなじみの柔らかさの黒豆にも仕上がるし、調味液と合わせてすぐに蒸しても、コリッとした歯ごたえを残した“雁食い豆”になってそれもまたおいしいですよ。


直火でなければ、ポリ袋で加熱調理もできます。高温になりすぎないように、蒸気で蒸せばいいのです。
家にある一番大きな蓋付き鍋に、穴の開いたプレートを敷けば蒸し器になって、一つの鍋で複数のおせちが同時につくれます。
鍋の湯が沸騰して蒸気が上がったら弱火にし、その後はずっと弱火で。蒸し時間の長いものから鍋に入れ(鍋肌に当たらないように注意)、時折、湯を足しながら、時間がきたら取り出す。
煮汁が煮詰まる心配がないので、少量の煮物も上手につくれますよ。

| 黒豆 | 1カップ(約150g) |
|---|---|
| ★ 【調味液】 | |
| ・ 湯 | 2カップ(50℃くらい) |
| ・ きび砂糖 | 大さじ4+4 |
| ・ 醤油 | 大さじ1/2 |
| ・ 塩 | 小さじ1/2 |
黒豆はサッと洗って水気をきり、ポリ袋に入れる。きび砂糖大さじ4を残して調味液の材料をすべて入れ、ポリ袋を揺すってよく混ぜる。

空気を抜いて袋の口を閉じ、時間があれば半日(7時間くらい)漬けておくと豆がふっくらして、火の通りが早くなる。

ポリ袋を二重にして口を閉じ、蒸し器に入れて、弱火で1~2時間蒸す(火の通り具合は好みで)。途中、袋を揺すって、豆と調味液をむらなく混ぜるのがポイント。

豆が好みの柔らかさになったら袋の口を開き、残りのきび砂糖大さじ4を入れて揺すって混ぜ、再び口を閉じて、さらに30分ほど蒸す。



和食、フランス料理、中国料理をはじめ、世界65カ国の家庭料理の知恵を備えた料理研究家。アジア諸国で目にしたポリ袋の活用方法に着想を得て、早くからポリ袋調理を提唱。著書に『ポリ袋漬けのすすめ』(文化出版局)ほか多数。
この記事はdancyu2021年1月号に掲載したものです。

文:岡村理恵 写真:工藤睦子