素敵な暮らしぶりが人気の料理研究家の中川たまさんですが、プライベートでは忙しくて手が回らないことももちろんあると言います。そんな中川さんが手軽に、でもしっかりと美味しく、見栄えもよい料理を教えてもらいました。一品目はラーパーツァイ(辣白菜)。即席でできる甘酢漬けのことです。たっぷりの生姜と胡麻油の香りが食欲をそそります。口に入れるとジューシーなみかんの果汁が広がりボウルを抱えて食べたくなるはず。
白いクロスにアンティークの白い器、果物を使った美しいサラダや、四季折々の野菜を生かした料理。そんな素敵な暮らしぶりが人気の中川たまさんですが、私生活では娘を育て上げたお母さん。忙しくて手が回らない日も、仕事で疲れ果てて夕飯をつくりたくない日も、あって当然のこと。そんな日は何を食べているのかと聞いてみたら、「実は最近、食卓料理にハマっています」という意外な答えが返ってきました。
「娘ももう社会人になり、夫が仕事で留守の日は、一人で夕飯ということもよくあります。そんなときはリビングの隅にあるソファへ直行。小さなテーブルにホットプレートを出して、アヒージョやピビンパなどの簡単な料理をして、食べながら映画や動画を観るのが至福の時間なんです」
材料を準備すれば、あとは座ってテーブル上で仕上げられる食卓料理の気軽さたるや。関西出身の中川さんにとってはねぎ焼きも定番です。
「冬は、部屋も暖まる鍋もいいですよね。いろいろな材料を使う寄せ鍋ではなく、主役を決めてシンプルな構成の鍋にすれば下準備もラク。〆が翌日のごはんにまわせるのもうれしいところ。食卓料理は、料理がしたくないな〜というときも気楽にできるし、展開料理もできる。なにより出来たての熱々をすぐに食べられるのがいいんです」
家族が揃う日には、みんなが喜ぶドリアや煮込み料理もつくります。「娘も一人でつくれる」という"巻かないロールキャベツ”や"カリフラワーのだしを生かした簡単ドリア”だから、疲れていても大丈夫。さらにパパッとできる炒め物や揚げ物、和え物も教えていただきました。お気に入りの器に盛れば、いつもの中川さんの美しい世界観に。とびきりおいしくて、でも実は簡単な日常ごはんの数々に、料理家&主婦としての底力を感じます。
みかん | 1個 |
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白菜の芯 | 2〜3枚分(そぎ切り) |
A | |
・ 生姜 | 1片分(せん切り) |
・ 赤唐辛子 | 2〜3本分(小口切り) |
・ 胡麻油 | 大さじ1 |
塩 | ひとつまみ |
みかんは、外皮をむいて縦半分に分けてから、薄切りにする。白菜と合わせてボウルに入れる。
小鍋にAを入れて弱火にかけ、香りが立ち、生姜がチリチリとしてきたら、①のボウルに回しかけて塩をふり、全体をさっと和える。
兵庫県生まれ。アパレル企業やケータリングユニット「にぎにぎ」を経て、2008年に独立。神奈川県・逗子市で夫・娘と3人暮らし。季節の野菜や果物を大切にしたレシピを、雑誌や書籍などで提案している。センスのいいスタイリングも人気。
この記事は『四季dancyu 2023 冬』に掲載したものです。
文:藤井志織 写真:宮濱祐美子