大原千鶴さんの「今宵のあて」
夏向きの爽やかエスニック「海老のピリ辛ライム炒め」

夏向きの爽やかエスニック「海老のピリ辛ライム炒め」

あまりの暑さでビールは進むけれど、食欲ダウンになりがちな今年の夏。すっきりとした味わいのアジアンな料理なら食欲が刺激され、ビールとの相性もバッチリです。ご紹介するのは、シンプルな海老の炒め物。お酒を愛する料理研究家の大原千鶴さんに、つくり方とそのコツを教えていただきました。

アジアな気分を高める軽めのビールと

材料の種類が少ないと、準備が楽で、つくるのも簡単。海老は野菜と組み合わせることが多いですが、この炒め物は合わせる具材はなく、シンプルに海老を味わう料理です。

海老はどんな料理のときもそうですが、下処理が大事です。意外と汚れているので、殻を外して背ワタを取ってから、汚れを取るようにします。下準備は簡単で、片栗粉をもみ込んで吸着させ、水で洗うと汚れが取れます。こうすることで、生臭みもとれ、プリプリのおいしい海老になります。

この下準備をしたら、あとはパクチー、鷹の爪、にんにくで炒めるだけ。パクチーは茎も一緒に炒めると、香りが立ちエスニック感がアップします。仕上げのライムの一搾りもポイントです。味が引き締まって、後味爽やか。夏に向くすっきりとした味わいに。

お酒はもちろんビールです。お薦めはアルコール度数3.5%くらいの、軽い飲みごこちのビールでアジア感がぐんと増します。

海老のピリ辛ライム炒めのつくり方

材料材料

海老8尾(200g・正味170g)(ブラックタイガー・大)
★ 海老の下準備用
・ 片栗粉大さじ1
・ 水大さじ2~3
・ 塩少々
パクチー1~2本(15g)
鷹の爪2本(赤唐辛子)
米油大さじ1/2
A
・ にんにく小さじ1(みじん切り)
・ 塩ひとつまみ
ライムの搾り汁小さじ1/2

1海老の下準備

海老は尾と一節を残して殻をむく。尾の先を斜めに切り落とし、背中に切り込みを入れて背ワタを取る。ボウルに入れ、下処理用の片栗粉と水を加えてもむ。洗ってペーパーで水気を拭き、塩をまぶしてもむ。焼く直前に片栗粉大さじ1(分量外)をまぶす。

海老の下準備

2材料の下準備

パクチーは葉と軸に分ける。軸は3cmの長さに切る(根もついていれば軸と同じように切ってOK、葉は飾り用にとっておく)。鷹の爪はヘタを切り落とし、種を取っておく。

3炒める

フライパンに米油を入れて、①の海老を並べ入れる。片面が焼けたら上下を返し、②のパクチーの軸と根、鷹の爪、Aを加えて炒める。

4仕上げる

海老に火が通ったら、火を止め、ライムの搾り汁を加えてザッと混ぜる。器に盛り、②のパクチーの葉をあしらう。

完成

教える人

大原千鶴 料理研究家

大原千鶴 料理研究家

京都・花脊の料理旅館「美山荘」が生家。小さな頃から自然に親しみ、料理の心得を学ぶ。現在は家族五人で京都の市中に暮らし、料理研究家としてテレビや雑誌、講習、講演など多方面で活躍。シンプルなレシピに定評があり、美しい盛りつけにもファンが多い。着物姿のはんなりとした京女の印象とは対照的に、お酒をこよなく愛す行動派。レシピはお酒を呑んでいる時に思いつくのが一番多い。近著「大原千鶴のいつくしみ料理帖」(世界文化社)がある。2023年4月より、オンライン料理レッスンもスタート。

文:西村晶子 撮影:福森クニヒロ

西村 晶子

西村 晶子 (ライター・編集者)

関西在住のライター、時々編集者。京都の和食を中心に、老舗から新店までを分け隔てなく幅広く取材。2006年8月号「明石の老舗に、至福の柔らか煮、タコ飯を習う」で初執筆。2018年5月号より「京都『食堂おがわ』の季節ごはん」、2021年5月号より「京都『食堂おがわ』の妄想料理帖」の連載を担当。