料理家・フードコーディネーターの尾身奈美枝さんが毎回、余った食材をおいしく食べきるレシピを提案します。前回に続き、今回のお題も“ラタトゥイユ”。残ったときは、夏野菜たっぷりの焼きそばをつくってみませんか?
夏の常備菜として、たっぷりつくりがちな“ラタトゥイユ”。前回は、春巻きの皮で卵と一緒に包んで揚げる“チュニジア風ブリック”を教えてくれた尾身さんだが、今回の食べきりレシピは意外や意外、“あんかけ焼きそば”だという。本当に残った“ラタトゥイユ”でつくれるんでしょうか……?
「“ラタトゥイユ”って、トマトの旨味をベースにして、いろいろな野菜の旨味が凝縮しているでしょ?言ってしまえば、ベジブロス(野菜だし)のようなもの。水分を加えてのばしてとろみをつければ、とびっきりおいしいトマトベースの野菜あんになるんです」
尾身さんがイメージするのは、中華のトマトあんだ。フレッシュトマトの酸味がきいたあのおいしさは、夏にむしょうに食べたくなる味。今回は、豚バラ肉も加えてボリュームアップ。さらに、オイスターソースの旨味もプラスして、食べごたえのあるトマト野菜あんに仕上げるという。
実はトマト野菜あんだけでなく、焼きそば麺にもワザあり。使うのはどこのスーパーでも手に入る、ソース焼きそば用の蒸し麺だ。そんなごく普通の麺をとびっきりおいしくする、尾身さんならではの工夫も教わることにしよう。
「今回の焼きそばには、黒胡椒をたっぷり使ってください」
そう言いながら、ガリガリとミルを挽く尾身さん。といっても、トマト野菜あんに加えるわけではない。
「この焼きそばをおいしくつくるポイントは、麺にしっかり味をつけておくこと。まず、先に醤油をからめておくことで、焼いたときに香ばしさがつきます。そして黒胡椒の出番!加える量は好みですが、しっかりきかせるのがおすすめ。何を隠そう、私は“コショラー”なので、パッと見たときに黒い粒々がわかるくらいにたっぷり加えます!」
いざ、完成した“あんかけ焼きそば”を味わってみると、こんがり焼けた麺の香ばしいこと!甘酸っぱいトマト野菜あんと、たまらなく合う。まさか“ラタトゥイユ”がこんなにおいしい焼きそばになるとは、驚きだ。
「野菜がたっぷりだから、軽やかに食べられるのもいいですよね。ぜひ、夏の定番に加えてください!」
ラタトゥイユ | 300g |
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豚バラ薄切り肉 | 80g(2~3cm長さに切る) |
焼そば麺 | 2玉 |
醤油 | 小さじ1/2 |
黒胡椒 | 適量 |
サラダ油 | 適量 |
A | |
・ 水 | 200ml |
・ オイスターソース | 小さじ1 |
・ 塩 | 小さじ1/4 |
・ 砂糖 | 小さじ1/2 |
・ 醤油 | 小さじ1/4 |
★ 水溶き片栗粉 | |
・ 片栗粉 | 大さじ1/2 |
・ 水 | 大さじ1 |
焼そば麺は袋のまま電子レンジ(600W)で1分30秒温める。袋からボウルに出してほぐす。醤油を加え、さらに黒胡椒も多めにふって、菜箸で全体にからめる。
フライパンにサラダ油大さじ1/2をひいて強めの中火にかけ、麺の半量(1人分)を入れて広げたら、フライ返しなどで軽くおさえながらカリッとするまで焼きつける。こんがりと焼き色がついたら返して、もう一方の面も焼き付け、さらに取り出す。残り1人分の麺も同じように焼く。
別のフライパンにサラダ油少々をひいて中火にかけ、豚肉を炒める。肉の色が変わったら、塩、黒胡椒各少々(分量外)で味を調える。
ラタトゥイユ、Aを加えて、煮立ったら水溶き片栗粉でとろみをつける。麺の上にあんをかけたら出来上がり。
料理家・フードコーディネーターとして、テレビ番組を中心に、新聞・雑誌など様々なメディアに出演。料理番組の金字塔『料理の鉄人』の裏方を務め、「フードコーディネーター」 という職種を世に広め、定着させた先駆け的存在でもある。
「きょうの料理」 (NHK)「あさイチ」(NHK) などの番組に多数出演。“エコ”をテーマとした新しいレシピ提案を発信し続けている。
文:大沼聡子 撮影:海老原俊之