自他ともに認めるラーメンマニアかつ、レコード番長の異名を持つ人気DJ須永辰緒さんが、ラーメンレシピとともに、そこに込めたテーマや思いをもとに組んだ音楽のプレイリストをご紹介する連載「須永辰緒のMUSIC&RAMEN」。第八回は牡蠣や鰯の煮干しなどの乾物をつかった、重厚な旨味がある醤油ラーメンです。意外と保守的な味わいに仕上がった一杯を、コンサバティブな選曲と共にお楽しみください。
前回に引き続き分量外のスープストックを使います。試作するたびに試食、実際にキッチンでは撮影用、振る舞い用の計3杯作るので分量外のストックもかなり多いのですが、そもそも丸鶏や大量の乾物を使って煮出すので致し方なく一杯ごとの正確なレシピが出せないのはもどかしいです。いずれは正確に割り出したいと思っていますが暫くはお試し期間ということでご勘弁ください。
但し無化調で味の輪郭やパンチラインをつくり出すのは例え一杯でも相当な量の素材と組み立てを考えねばなりません。万能調味料のウェイパー(味覇)や化学調味料などを使えば話は早いし、それはそれでお父さんの休日につくるラーメンとして正しくはありますが、僕は単純にあの味が好きでは無いというだけ。でも今後はそんな即席ラーメンもいつかつくってみます(つくるんか~い)。
さて今回の醤油らぁ麺はトリプルスープです。件のストックに加えるスープの素材は牡蠣の煮干し、鰯煮干しを水出しして1日置いたものをゆっくり炊き上げた乾物だしです。牡蠣の扱いにも慣れてきました。コハク酸の旨さは効果抜群なのでそこを補強したイメージです。いずれはコハク酸に特化したラーメンもつくりますが今回は味の深みを加える程度に留めました。だしがらとはいえ牡蠣にはまだ旨味も残っているのでデュクセルもつくって添えてみます。味変にどうぞ。
コクを加える鶏油も醤油らぁ麺には欠かせないということで入れています。結果コンサバな出来栄えになってしまいましたが美味しかったので良しとする。
ということで選曲もコンサバティブな方向にしようと企みましたがそもそもがコンサバな趣味ではないので「おい、それ違うだろう」とひとつ年上の某編集部長に突っ込まれそうですが「それは先輩がベタ過ぎるんですよ」
(ってほぼ私信になってますが、某編集部長は時折DJ現場でも一緒になるくらい音楽に精通しているのです)
それではラーメンと併せてお楽しみ下さい。
※プレイリストの再生にはSpotifyのアカウントが必要です。
中華麺 | 140g |
---|---|
基本のスープ | 350cc(鶏だしと魚介だしを合わせたもの※) |
★ 乾物だし | (つくりやすい分量) |
・ 牡蠣煮干し | 15g |
・ 干し貝柱 | 5g |
・ 鰯煮干し | 30g |
・ 水 | 500cc |
★ 醤油だれ | (つくりやすい分量) |
・ 醤油 | 500cc |
・ みりん | 100cc |
・ ザラメ | 30g |
・ 昆布 | 5g |
・ 梅干し | 2個 |
★ デュクセル | |
・ 生牡蠣 | 1個 |
・ 煮出した後の牡蠣煮干し | 適量 |
・ 干し椎茸 | 適量 |
・ にんにく | 半かけ |
・ 白ワイン | 50cc |
・ 塩 | 少々 |
・ オリーブオイル | 適量 |
★ トッピング | |
・ 穂先メンマ | 適宜 |
・ 白髪ねぎ | 適宜 |
・ 九条ねぎ | 適宜 |
・ 水菜 | 適宜 |
※だしのつくり方は「鶏塩そば」のレシピを参照。
乾物だしの材料を鍋に入れ、水に浸し一晩おく。一晩おいたら弱火で40分ほど加熱する。
デュクセルの塩とオリーブオイル以外の材料をミキサーで攪拌する。すべての材料がまとまったら塩を加え、鍋に入れる。オリーブオイルを加え煮込み、汁気が飛べば完成。
醤油だれの材料を鍋にいれ火にかける。一分ほど煮立たせたら冷ます。
麺を表示通りの時間でゆでる。
鍋に基本のスープと①を100ccを入れ、加熱する。丼に③を40cc注ぐ。スープが温まったら丼に入れる。
④がゆであがったら器に麺を入れる。
トッピングを載せれば完成。
文:須永辰緒 写真:竹之内祐幸