自他ともに認めるラーメンマニアかつ、レコード番長の異名を持つ人気DJ須永辰緒さんが、ラーメンレシピとともに、そこに込めたテーマや思いをもとに組んだ音楽のプレイリストをご紹介する連載「須永辰緒のMUSIC&RAMEN」。第七回はいつものスープをベースに、牡蠣の風味を加えた塩ラーメンです。そんな一杯に添えるプレイリストは、いつもの音楽に新たな「風味」を加えてくれるようなもので選曲しています。
連載当初からスープのレシピにはいつも「分量外」という注釈をつけています。いい味を出すためにはしょうがないのですが、ラーメン一杯分に使う量に比して、だいぶ多い量をいつもつくらなくてはなりません。とはいえ、余った分は色んな料理にも対応できる優秀なスープストックとして活躍してくれます。
ここ10数年に渡り、この分量外作戦によって暇があればスープをつくり、余った分はほかの料理に生かすという、自前の調味料のような役目も果たしてくれました。カレーや煮物にも役に立つし、もちろんラーメンもほぼ即席状態でつくれますね。家庭用なのでスープの仕込みは常に分量外というわけです。
癖です、こうなると。つくり方に関しては過去のバックナンバーを参照下さい。
今回のらぁ麺は前回残したその分量外のスープストックを使います。冷凍保存しているとはいえ、つくりたてのフレッシュな香りや味わいは多少飛んでしまっています。そこでそのスープとは別に、牡蠣を加えました。煮過ぎない程度にして多少の旨味と潮の香りを足してやろうという寸法です。
いまどき牡蠣ラーメンは珍しく無いですけどエグみや独特の磯臭さが立ちすぎていて難しい食材だなぁ、というイメージがあり、好んで食べることはなかったのですが、最近そういった難点をすっきりと治めた素晴らしいラーメンに出会ったのです。そこであらためて食材の優秀さを思い知り、とはいえ高度な技術を駆使したそのラーメンに寄せることは難しいので、あくまで控えめに味に深みを加えるに留まります。牡蠣の独特な香りにはニンニクを使った香味油をぶつけることでまとめます(実際その出会ったお店もおそらくそういう意匠だったような?)。
シンプル(実際こうなってくるとものすごく複雑なんですが)な塩ラーメンなので、味変要員として生七味をつくり添えることにしました。この生七味も簡単なのでぜひつくってみて下さい。三分間すり鉢でゴリゴリ。小さなすり鉢セットなら100均SHOPで買えます。
サブスクリプションの優秀なAI君は時に未知の曲を提案してくれます。僕だけじゃ無いと思いますがリモート仕事の時にラジオ(も好き)や音楽をやたら聴きますよね。BGM程度ですが。そんな時に自分でセレクトした選曲を流していると「こんな曲が好みじゃないのですか?」と語りかけてくれるかのように突然ツボを突かれたような知らない曲が流れることがままあります。サブジャンルではなくて、普段聴いている曲の延長線上にある知らない曲。その場合は一旦手を止めてインターネットでフィジカル(僕の場合はレコードですが)リリースを探します。デジタル配信のみの場合も多いですけど「お!出てるんだ!」と速攻でポチることが多いのです。レコード屋に足げに通いスタッフと仲良くなり良い曲を教えてもらったり、試聴に次ぐ試聴みたいな時代が懐かしいしアナログな自分には合っているけどAI君の提案も中々悪くないぞと。
そんな分量外な音楽生活でAI君に教えてもらった曲から選曲しています。
※プレイリストの再生にはSpotifyのアカウントが必要です。
中華麺 | 140g |
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スープ | 350cc(鶏だしと魚介だしを合わせたもの) |
生牡蠣 | 300g |
六助の塩 | 小さじ1 |
白絞油 | 100cc |
にんにく | 一片(みじん切り) |
★ 生七味 | |
・ 唐辛子 | 適量(一味でも可) |
・ 炒りごま | 適量 |
・ 粒山椒 | 適量(なければ粉末でも) |
・ 青海苔 | 適量 |
・ 大葉 | 適量(細かく切ってから) |
・ パプリカ | 適量(粉末でも) |
・ 陳皮 | 適量(みかんの皮を干したものでも) |
★ トッピング | |
・ アスパラガス | 2本 |
・ 紫玉ねぎ | 適量 |
・ 玉ねぎ | 適量 |
・ 九条ネギ | 適量 |
※だしのつくり方は「鶏塩そば」のレシピを参照。
生七味の材料をすり鉢入れ、三分間ほどすり合わせる。
九条ねぎの青い部分を斜めに薄切りにする。紫玉ねぎ、玉ねぎはみじん切りにする。
白絞油でみじん切りしたにんにくを揚げる。香りが移ったら焦げる前に火を落としザルで濾す。
小鍋に湯を沸かしてアスパラガスをゆでる。火が通ったら氷水の入ったボウルにあげる。
鍋にスープを入れ、牡蠣を加える。弱火にかけ10分ほど加熱する。
麺を表示通りの時間でゆでる。
温めた器に塩をいれ、⑤のスープを加える。
⑥の麺を入れ、③を40cc加える。トッピングの具材を上にのせて完成。①は別皿にのせておく。
文:須永辰緒 写真:竹之内祐幸