和食では使うことが少ない果物。それを和え物にしたら、この季節にぴったりのあてに変身します。おしゃれな見た目と爽やかな酸味がお酒を誘い、後味さっぱり。お酒を愛する料理研究家の大原千鶴さんに、つくり方とそのコツを教えていただきました。
フルーツは、個人的には柑橘が好きです。和食では薬味として使うことが多いですが、こんなふうにお酒のあてにもなるんです。ポイントは甘くない柑橘を選ぶこと。苦味が爽やかさを生みます。ここではグレープフルーツを使いましたが、小夏もいいですね。
果肉を取り出すのが面倒に思われがちですが、房の間に切れ目を入れると形を崩すことなく取り出せます。
味のベースはグレープフルーツの果汁と醤油で、この二つの相性がいいんです。見た目はサラダのようですが、ノンオイルで体に優しく、さっぱりとした後味です。お酒は、グレープフルーツの苦味にリンクするジンソーダがお薦めです。春らしい爽やかな家呑みをお楽しみいただけます。
グレープフルーツ | 1個 |
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海老 | 8尾(殻をむいた正味80g)(今回はブラックタイガー・小) |
スナップエンドウ | 6本 |
塩 | 小さじ1/4 |
薄口醤油 | 小さじ1 |
グレープフルーツは皮を薄皮ごとむき、房の間にV字に包丁を入れ、ひと房ずつ果肉を取り出す。切るときに出てきた果汁を大さじ1を取り置く。
海老は殻をむいて竹串で背わたを取る。ボウルに入れ、片栗粉小さじ1(材料外)と水大さじ2程度を加えてもみ、水で洗ってキッチンペーパーで水気を拭き取り、塩少々(分量外)をふって再度もんでおく。スナップエンドウは筋を取る。
小鍋に湯を沸かし、②のスナップエンドウを入れて2分間ほどゆで、ザルに上げて水気をきる。続けて、②の海老を30秒間ゆでて火を通し、水気をきる。
①のグレープフルーツ果汁と塩、薄口醤油をボウルに入れて混ぜる。①のグレープフルーツの果肉(約140g)と③のスナップエンドウと海老を加えて和え、器に盛る。
京都・花脊の料理旅館「美山荘」が生家。小さな頃から自然に親しみ、料理の心得を学ぶ。現在は家族五人で京都の市中に暮らし、料理研究家としてテレビや雑誌、講習、講演など多方面で活躍。シンプルなレシピに定評があり、美しい盛りつけにもファンが多い。着物姿のはんなりとした京女の印象とは対照的に、お酒をこよなく愛す行動派。レシピはお酒を呑んでいる時に思いつくのが一番多い。近著「大原千鶴のいつくしみ料理帖」(世界文化社)がある。2023年4月より、オンライン料理レッスンもスタート。
文:西村晶子 撮影:福森クニヒロ