料理家・フードコーディネーターの尾身奈美枝さんが毎回、余った食材をおいしく食べきるレシピを提案します。家でつくる“餃子”、もし“皮”が足りなくなって“あん”だけが残ったら?今回は意外なご当地グルメに変身させます!
引き続き、お題は“餃子”である。家でつくると、どうしても“皮”と“あん”のどちらかが残ってしまうのが常。前回は余った皮を“フードロサない”レシピを尾身さんに教わったので、あんだけが残ってしまったときのおいしい食べ方も知りたい!
「実は最近、一緒にお仕事した関西出身の方に、いい食べきり方を教わったんですよ。その料理をつくるために必要なのが、どの家庭にもきっと常備されているこの食材です!」
そう言って尾身さんが取り出したのは、冷凍うどん!
「大阪の高槻市では“うどん餃子”がご当地グルメとして有名なんですって。餃子のあんに細かく切ったうどんを混ぜて焼くだけという簡単さなんですが、食べてみるとまさに餃子。面白いですよね」
その発想はなかった……!全国的にはそこまで知名度は高くないものの、高槻市の公式ウェブサイトでも「高槻市北部地域(塚原・南平台・阿武野地区)の家庭で約30年前から脈々と愛されてきた料理で、皮で包まずに刻んだうどんをお肉や卵と混ぜ丸めて焼いたものです」と紹介されている。長く愛されてきた味であることはまちがいない。
というわけで、尾身さんに“うどん餃子”のつくり方を見せてもらった。餃子のあんに細かく切ったうどんを混ぜたら、丸めて焼くだけでなので、本当に簡単。こんがり焼き上がった姿は、どこかニラ饅頭のようでもある。
「少しだけ残ったあんも、うどんを加えることでボリュームアップします。うどんが長すぎるとあんが丸めにくいので、1cm程度に細かく切るのがコツ。あんとうどんは、2対1くらいの割合を目安にして、残っているあんの量に応じて加減してみて!」
いざ、焼きたてを味わってみると、意外や意外!うどんが餃子のあんになじんでる!餃子に潜むモチモチした食感も新鮮で、皮で包むのが面倒なときにつくってもよさそう。“進化系”とも言えそうなこのローカル餃子、あんが余ったらぜひお試しを!
残った餃子のあん | 100g |
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うどん | 50g |
胡麻油 | 大さじ1 |
A | |
・ 酒 | 小さじ1/2 |
・ 醤油 | 小さじ2/3 |
・ 砂糖 | 小さじ2/3 |
・ 塩 | ひとつまみ |
・ 片栗粉 | 小さじ1 |
★ タレ | |
・ 酢 | 適量 |
・ 醤油 | 適量 |
・ ラー油 | 適量 |
冷凍うどんは袋の表示通りに電子レンジで解凍し、1cm長さに切る。
餃子のあんにAを加えてよく練り混ぜたら、うどんを加えてさらに混ぜる。4等分して丸めて、やや平たくなるように成形する。
フライパンに胡麻油をひいて弱めの中火にかけ、丸めたあんを並べて焼く。焼き色がついたら返し、蓋をして3分ほど蒸し焼きにする。もう一方の面も焼き色がついたら出来上がり。タレの調味料を好みの割合で合わせて添え、つけて食べる。
料理家・フードコーディネーターとして、テレビ番組を中心に、新聞・雑誌など様々なメディアに出演。料理番組の金字塔『料理の鉄人』の裏方を務め、「フードコーディネーター」 という職種を世に広め、定着させた先駆け的存在でもある。
「きょうの料理」 (NHK)「あさイチ」(NHK) などの番組に多数出演。“エコ”をテーマとした新しいレシピ提案を発信し続けている。
文:大沼聡子 撮影:海老原俊之