料理家・フードコーディネーターの尾身奈美枝さんが毎回、余った食材をおいしく食べきるレシピを提案します。今回のお題は、家飲みでちょこっとずつ残った“チーズ”。せっかくならおいしく食べきりましょう!
友人との家飲みやホームパーティーで、お皿に残ったつまみや料理。なかでも、食べきれないものナンバーワンといえば、“チーズ”ではないだろうか。実は尾身さんも、心当たりがあるようで……。
「人が集まるときには、“とりあえずの一品”として用意しちゃいますよね。わりと保存がきくので、余ってもいいからと何種類も揃えたりして。でも、いったんパッケージから出して盛りつけたものは、早めにおいしく食べきったほうがいいですよね」
さて、そんなチーズを尾身さんはいつもどうやって“ロサない”ようにしているのだろう?
「サンドイッチに挟むのは、手軽な食べ方としていいですよね。ゴルゴンゾーラみたいな青カビ系チーズが残っていたら、生クリームと合わせてパスタソースにするとおいしいです。でも、私が好きなのはグラタンですね!ベシャメルソースにいろいろな種類のチーズを散らして焼くと、もう最高。この味を知ってしまったら、いろいろなチーズが少しずつ残るとラッキー!と思ってしまうんです(笑)」
でも、「ベシャメルソースはちょっと難しそう」と感じる人もいるはず。そこで今回教わる“フードロサない”レシピは、ベシャメルいらずでグラタン風の味が楽しめる“れんこんと長ねぎのチーズ焼き”です。
“れんこんと長ねぎのチーズ焼き”は、ベシャメルソースのかわりに生クリームを使うのがポイント。チーズは分量の3/4を生クリームのソースに溶かして、残り1/4は上に散らしてこんがり焼き上げる。オーブンがなくても、トースターで焼けるのも気軽でいい。チーズソースがからんだホクホクのれんこん、トロッと甘いねぎをバゲットにのせれば、ワインを呼ぶおつまみに!
「今回はれんこんと長ねぎを使いましたが、ゆでたかぶや炒めたきのこ、蒸したじゃがいもでもおいしいですよ。いろんな野菜でつくれるのも、この“チーズ焼き”のいいところ。それから、さらにリッチな味にしたいなら、白ワインのかわりにシェリー酒を使うのがおすすめ。一気にお店の味になります!」
さらに、トッピングしたカリカリの生ハムも絶妙なアクセントに。実はこれも“ロサない”アイディア!「チーズと同じように、“とりあえず!”で食卓に並べて残った生ハムがあったら、ぜひこうやって使ってください。なければ省いてもOKです」と尾身さん。
いろんな種類の残ったチーズでつくるからこそ生まれる、贅沢なハーモニー。一度味わえば、わざわざチーズを余らせたくなるはず!
残ったチーズ | 70g(カマンベール、ゴルゴンゾーラ、パルミジャーノ、ミモレット、ゴーダなど) |
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長ねぎ | 1本(120g、2cm長さに切る) |
れんこん | 100g(皮付きのまま1cm厚さのイチョウ切りにする) |
生クリーム | 100ml(乳脂肪分40~48%) |
白ワイン | 大さじ1(シェリー酒を使うとさらに美味) |
EXバージンオリーブオイル | 適量 |
★ トッピング | |
・ 生ハム | 2枚 |
・ サラダ油 | 適量 |
バゲット | 適量 |
鍋部たっぷりの湯を沸かし、塩とオリーブオイル各少々を入れる。れんこんを投入して7~8分ゆで、ザルにあげる。
フライパンにオリーブオイル少々をひいて中火にかけ、長ねぎを並べて焼く。色づいてきたら、香りづけのための白ワインをまわし入れ、アルコール分をとばす。
生クリームを入れ、温まってきたらチーズの3/4量を加えて溶かす。
ゆでたれんこんを加えたらひと混ぜし、2分ほどソースを煮詰める。
耐熱皿(18×4cm)に入れてならし、残り1/4量のチーズを上にのせ、トースターで焼く。焼き時間はトースターの機種によって異なるので、こんがり焼き色がつけばOK。
トースターで焼いている間に、生ハムのトッピングをつくる。フライパンにサラダ油をやや多めに入れて中火にかけ、ひと口サイズにちぎった生ハムをカリカリになるまで揚げ焼きにする。チーズ焼きが出来上がったら、上に散らす。
料理家・フードコーディネーターとして、テレビ番組を中心に、新聞・雑誌など様々なメディアに出演。料理番組の金字塔『料理の鉄人』の裏方を務め、「フードコーディネーター」 という職種を世に広め、定着させた先駆け的存在でもある。
「きょうの料理」 (NHK)「あさイチ」(NHK) などの番組に多数出演。“エコ”をテーマとした新しいレシピ提案を発信し続けている。
文:大沼聡子 撮影:海老原俊之