冬の旬の魚といえば、ブリ。脂がのる身は煮ても焼いても美味しく、おかずにもあてにもなります。なかでも冬ならではの一品といえば、お造り。相性の良い大根おろしと合わせればさっぱりとして美味しいですが、おろし和えにするとさらに味わいが増し、一体感があって食べ飽きない酒肴になります。お酒を愛する料理研究家の大原千鶴さんに、つくり方とそのコツを教えていただきました。
新鮮なブリをダイレクトに味わうなら、お造りですね。ただ、脂が多くてひと切れ、ふた切れが美味しさのピークで、だんだんお箸が進まずトーンダウン。そんなこと、ありませんか?
でも、ブリを薄切りにしてわさびおろしで和えると、脂っぽさが緩和され、時間が経ってもブリ本来の美味しさを味わえます。薄く切って使うのは、わさびおろしをたっぷりくるんで食べてもらいたいから。大根おろしにわさびと醤油を合わせているのでブリとの一体を楽しめ、おろしの量を加減するだけで調和のとれた好みの味を楽しめます。さらに、柑橘をたっぷり使うと一層美味しく、お酒が飲みたくなる酒肴になります。
ブリというと日本酒を合わせたくなりますが、わさびや柑橘を効かせているのでパンチがあって味わい豊かな芋焼酎ロックもお薦めです。味にメリハリが生まれ、お酒が進むこと間違いなしです。
ブリ | 80g(刺身用・サク) |
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大根 | 4cm分(正味約140g) |
わさび | 小さじ1/4~1/2 |
薄口醤油 | 小さじ2 |
柚子果汁 | 大さじ1 |
せりの茎 | 少々(小口切り) |
大根をすりおろし、ザルに上げて自然に水気をきる。ブリは薄切りにする。
ボウルに①の大根おろしを入れてわさびを混ぜ、①のブリ、薄口醤油、柚子果汁を加えて混ぜる。器に盛り、あればせりをちらす。
京都・花脊の料理旅館「美山荘」が生家。小さな頃から自然に親しみ、料理の心得を学ぶ。現在は家族五人で京都の市中に暮らし、料理研究家としてテレビや雑誌、講習、講演など多方面で活躍。シンプルなレシピに定評があり、美しい盛りつけにもファンが多い。着物姿のはんなりとした京女の印象とは対照的に、お酒をこよなく愛す行動派。レシピはお酒を呑んでいる時に思いつくのが一番多い。近著「大原千鶴のいつくしみ料理帖」(世界文化社)がある。2023年4月より、オンライン料理レッスンもスタート。
文:西村晶子 撮影:福森クニヒロ