
味噌漬けと聞くと、味噌床を用意しなくてはいけない、手間と時間のかかる料理と思いがちです。でも、味噌床に漬けなくても、甘味のある西京味噌を塗って一晩置く、そんなちょっとの仕込みで本格的な味に仕上がるのが、この「豚の味噌漬け焼き」。お酒を愛する料理研究家の大原千鶴さんに、そのつくり方とコツを教えていただきました。
この味噌漬けは、味噌床を使わず、肉の表面に味噌を塗るスタイル。魚の場合は食べ頃までに2~3日かかりますが、肉は短時間でOK。ラップに包んで一晩置くだけで、食べ頃の味噌漬けが完成します。余計な水分が抜けて旨味が凝縮し、味噌の風味が加わって、独特の美味しさを楽しめます。
味噌漬けのお悩みは、焼くと焦げやすいこと。ポイントは焦げの原因となる味噌をしっかり取ることで、今回は少量なので箸で肉を挟んで味噌をこそげるようにします。さらに、テフロン加工のフライパンを使い、蓋をして弱火でじっくり焼くと焦げません。
そのときに野菜も一緒に焼けば、どちらも焼きたてを味わえます。豚肉のほか、鶏肉や牛肉でもできますので、お好みの肉でお試しを。
お酒は、よく冷やした日本酒がお薦めです。上品な香りとふくよかな味わいをしっかり持つ雄町の純米酒が、豚の旨味を優しく包んでくれます。
豚肩ロース肉 | 1枚(160g)(豚カツ用) |
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A | |
・ 西京味噌 | 50g |
・ みりん | 大さじ1 |
ズッキーニ | 50g |
米油 | 少々 |
塩 | 少々 |
溶きからし | 少々 |
Aをよく混ぜ合わせる。
ラップを広げたところに①の半量をのばし、豚肉をのせる。上に残りの①を塗り、ラップでぴっちりと包んで、冷蔵庫に一晩置く。
ズッキーニは1cm幅に切る。
②の味噌をぬぐい取る。
フライパンに③と④を入れ、ズッキーニに油をふって蓋をして弱火にかける。5分ほど焼いたら上下を返し、ズッキーニに油をふって、もう一度蓋をして4分ほど焼く。
豚肉に火が通ったら食べやすく切って、ズッキーニとともに器に盛り合わせ、溶きからしを添える。
京都・花脊の料理旅館「美山荘」が生家。小さな頃から自然に親しみ、料理の心得を学ぶ。現在は家族五人で京都の市中に暮らし、料理研究家としてテレビや雑誌、講習、講演など多方面で活躍。シンプルなレシピに定評があり、美しい盛りつけにもファンが多い。着物姿のはんなりとした京女の印象とは対照的に、お酒をこよなく愛す行動派。レシピはお酒を呑んでいる時に思いつくのが一番多い。近著「大原千鶴のいつくしみ料理帖」(世界文化社)がある。2023年4月より、オンライン料理レッスンもスタート。
文:西村晶子 撮影:福森クニヒロ