料理家・フードコーディネーターの尾身奈美枝さんが毎回、余った食材をおいしく食べきるレシピを提案します。前回に引き続き、今回も残った“おでん”のアフターレシピを紹介。翌日の楽しみが広がること間違いなし!
たっぷり煮るからこそ、おいしい冬のおでん。東京は品川の下町で生まれ育った尾身さんにとって、おでんは幼いころの古き良き情景を思い出させる味でもある。
「商店街におでんだね屋さんがあって、母はいつもそこで買っていました。シュウマイとかウインナーが入った変わり種の練り物もあったりして。あと、家の近所におでん屋台もよく来ていて、おやつにひとつだけ買って食べることもありました。懐かしいですね」
尾身さんのソウルフードともいえるおでんだが、昔も今も、中途半端につゆと具材が残ってしまうのは変わらない。というわけで、今回もそんなふうにちょっとだけ余ったおでんを“ロサない”どころか、さらにおいしく食べきるワザを尾身さんに教わった。
前回は“おでんの茶碗蒸し”を紹介したが、それでもまだ食べきれないときはコレ!おでんのつゆをカレー味に仕立て、さらにおでんも具材としていかして味わう“カレーうどん”である。
「お蕎麦屋さんにあるカレーうどんっておいしいですよね!おでんが余ったら、あの味が簡単につくれちゃうんです。おでんのつゆはだしに深みがあるので、いかさないともったいない。きっと、汁を残さず味わいたくなりますよ」
そう言いながら、尾身さんがあっという間につくってくれた一杯は、なんともそそられるビジュアル!半分に切ってのせたおでんの玉子が、胃袋を刺激するのだ。そこに、とろとろの和風カレーつゆがからめばもう、旨くないわけがない。さらに、箸でちぎれるほどやわらかい大根や、ほどよくだしがしみたちくわも、スパイシーな香りで旨さ倍増。具材を食べてうどんをすすり、再び具材へ……これぞ、美味なる無限ループ!
「お店の味に近づけるポイントはカレールウではなく、カレー粉を使うこと。それから、長ねぎをたっぷり入れること」と尾身さんのアドバイス。“おでん進化論”があるならば、このカレーうどんこそが最終形で間違いない!
★ カレーつゆ | |
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・ 残ったおでんのつゆ | 400ml(濃い場合は水で薄める) |
・ 醤油 | 小さじ1 |
・ みりん | 大さじ1/2 |
・ カレー粉 | 大さじ1 |
・ 水溶き片栗粉 | |
├ 片栗粉 | 大さじ1 |
└ 水 | 大さじ2 |
★ 具材 | |
・ 残ったおでんの具 | (玉子以外は、食べやすく切る) |
・ 長ねぎ | 1/3~1/2本(斜め薄切り) |
冷凍うどん | 1袋 |
長ねぎの青い部分 | 適量(小口切り) |
七味 | 適量(好みで) |
鍋におでんのつゆを入れて中火にかけ、醤油を加える。カレー粉はダマにならないように、みりんで溶いてから加える。煮立ったらおでんの具と長ねぎを入れて、2~3分煮る。
水溶き片栗粉をよく混ぜてからまわし入れ、とろみをつける。
冷凍うどんを袋の表示通りに電子レンジで温めて器に盛り、カレーつゆをかける。具材に玉子があれば半分に切ってのせる。長ねぎの小口切りを飾り、好みで七味をふる。
料理家・フードコーディネーターとして、テレビ番組を中心に、新聞・雑誌など様々なメディアに出演。料理番組の金字塔『料理の鉄人』の裏方を務め、「フードコーディネーター」 という職種を世に広め、定着させた先駆け的存在でもある。
「きょうの料理」 (NHK)「あさイチ」(NHK) などの番組に多数出演。“エコ”をテーマとした新しいレシピ提案を発信し続けている。
文:大沼聡子 撮影:伊藤菜々子