
料理名通りオスマン帝国の君主、スルタンもお気に入りだったと言われるほど、トルコ全土で好まれている一品です。驚くほど多彩な味わいを持っているトルコ料理をユーラシア大陸の料理の研究をライフワークとする荻野恭子さんに教えて貰いました。
ベシャメルソースとチーズを混ぜたクリーミィななすのピューレの上に、ミートシチューをかけた濃厚な一品。オスマン帝国の君主(スルタン)が愛し、今はトルコ全土で愛されている料理です。焼きなすの香ばしさは、日本人にもなじむ味わい。
| ★ ミートシチュー | |
|---|---|
| ・ 牛肉ステーキ用 | 300g(厚切り) |
| ・ 玉ねぎ | 1個分(みじん切り) |
| ・ 小麦粉 | 大さじ2 |
| A | |
| ├ にんにく | 1片分(みじん切り) |
| ├ トマトペースト | 大さじ2 |
| ├ タイム | 少々 |
| ├ ローリエ | 1枚分(手でちぎる) |
| ├ 塩 | 小さじ1と1/2 |
| ├ 胡椒 | 少々 |
| └ 水 | 400ml |
| バター | 大さじ2 |
| 植物油 | 大さじ1(ひまわり油など) |
| ★ なすのピューレ | |
| ・ なす | 3本 |
| ・ レモン汁 | 小さじ1 |
| ・ バター | 大さじ1 |
| ・ 小麦粉 | 大さじ1 |
| ・ 牛乳 | 100ml |
| ・ シュレッドチーズ | 1/3カップ |
| ・ 塩 | 少々 |
| ・ 胡椒 | 少々 |
| ・ タイム | 適量(飾り用) |
牛肉は一口大に切り、塩と胡椒各少々(分量外)をまぶす。肉の部位は特に限定しないが、ある程度サシの入った柔らかい肉だと、煮込み時間が短縮できる。

鍋にバターと植物油を入れて中火にかけ、玉ねぎを炒める。薄く色づくまでしっかりと炒めたら、玉ねぎを端に寄せ、あいたところで牛肉を炒める。

肉の色が変わったら、小麦粉をふり入れてさらに炒める。

Aを加えてざっと混ぜ合わせ、沸いたら弱火にして煮込む。塩はここでは全量入れず、調整用に残しておく。

肉が柔らかくなり、ソースにとろみがついたら完成。味をみて残しておいた塩で調える。

なすは直火または網の上にのせて焼き、中心まで柔らかくなったらヘタと皮を取り除く。包丁で細かくたたいてペースト状にし、レモン汁をふりかけておく。

フライパンにバターを入れて弱火にかける。溶けたら小麦粉を加えて焦がさないように炒め、牛乳を加えてよく混ぜ合わせ、とろみがつくまで加熱する。

7に6のなすとチーズを加えて混ぜ、塩、胡椒で味を調える。皿に平たく盛り、その上に5のミートシチューを流し入れ、タイムを添える。



おぎの・きょうこ●料理研究家。栄養士。世界65カ国以上を訪れて家庭料理を学び、食文化を研究している。料理教室「サロン・ド・キュイジーヌ」主宰。『家庭で作れるトルコ料理』(河出書房新社)、『塩ひとつまみ それだけでおいしく』(女子栄養大学出版部)など著書多数。
※この記事の内容は、四季dancyu「春のレシピ」に掲載したものです。

文:鹿野真砂美 撮影:宗田育子