日本酒に合う豆皿つまみ
甘じょっぱさが酒をよぶ"鶏肉の治部煮風"

甘じょっぱさが酒をよぶ"鶏肉の治部煮風"

煮る前にしっかり焼きつけた鶏肉は、皮目の歯ごたえと身の柔らかさが両立。甘じょっぱいだしにはぜひ本わさびを添えて。日本酒好きに愛される鎌倉の居酒屋「おおはま」店主に、ちびちびやるのに最適なつまみを教えてもらいました。

“鶏肉の治部煮風”のつくり方

醤油ベースの汁に鶏の旨味がじんわりしみ出す。具はおかずに、わさびを溶かしたスープがよいつまみに。ここはぜひお燗で。日本酒を選ぶなら肉ととろみに負けない、甘味もあるしっかり旨口がお薦め。

おいしく飲むコツ!
鶏肉の皮目をパリッと焼くことで香りと食感をプラス。鍋に鶏肉を入れるときは、必ず沸騰した状態で1切れずつ入れること。しっかりと小麦粉をまとって食感がよくなる。「奥能登の白菊 特別純米」とあわせるのがお薦め。

材料材料 (2人分)

鶏もも肉1/2枚
椎茸2個
長ねぎ2本(長さ4cmに切ったもの)
青梗菜1/2束
1.5番だし250ml
A
・ 酒大さじ2
・ 醤油大さじ2
・ みりん大さじ2
サラダ油適量
小麦粉適量(片栗粉でも可)
わさび適宜(できれば本わさび)

「おおはま」の1.5番だしのつくり方

鍋に水2Lと昆布10cm角1枚を入れてしばらく浸す(時間のあるときは冷蔵庫で一晩)。鍋を中火にかけ、沸騰直前になったら昆布を取り出す。鰹節40gを加えたら弱中火にして煮立てないように煮る。アクが出てきたら取る。10分たったら火を止め、すぐに漉す。無理に絞らず自然とだしが落ちるまで待つ。当日使い切るのが理想だが冷蔵庫で2~3日保存可。

1野菜をカットする

椎茸は半分に、青梗菜は縦1/2に切る。ねぎは斜めに切り込みを入れる。

2鶏肉を焼く

フライパンに油適量を引き、鶏肉の皮目を下にして置く。皿などでぎゅっとフライパンに皮目を押しつけて平らにしたら、そのまま皿を重しにして火をつけて中弱火で焼く。

鶏肉を焼く

3野菜を焼く

油適量を足し、1の野菜をフライパンの空いているスペースで焼く。8割方火が通ったらキッチンペーパーなどに取り出し、余分な油をきっておく。

4鶏肉の油をきる

皮がパリッとしたら鶏肉も取り出し、キッチンペーパーで油をきっておく。この段階ではまだ鶏肉に中まで火が通っていなくてもOK。冷めたらそぎ切りにしておく。

鶏肉の油をきる

5粉をまぶす

鍋にだしを入れて火にかける。沸騰したらAを入れて調味し、4の鶏肉に小麦粉を薄くまぶしてから1切れずつ鍋に入れる。2分ほど煮たら、最後に取り出しておいた野菜を入れ、軽く煮る。

粉をまぶす

6仕上げ

食材に火が通ったら火を止め、好みでわさびを溶かしながらいただく。

完成

教える人

大濱幸恵さん「旬の菜と旨い酒おおはま」店主

日本酒好きのオアシス「おおはま」を一人で切り盛り。全9席の小体な店ながら、その居心地のよさに阿佐ヶ谷から2014年に鎌倉に移転した今でも当時の客が通ってくるという。酒との相性を考えたさまざまな料理を出すため、仕込みからオペレーションまで日夜工夫を絶やさない。

※この記事の内容は、「dancyu定番シリーズ 豆皿つまみと小鍋つまみ」に掲載したものです。

dancyu定番シリーズ豆皿つまみと小鍋つまみ
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A4変型判(120頁)
2022年12月16日発売 880円(税込み)

取材:田中鮎美 撮影:鈴木泰介