大原千鶴さんの「今宵のあて」
生とはひと味違う、旨味がしみ出た「牡蠣の味噌焼き」

生とはひと味違う、旨味がしみ出た「牡蠣の味噌焼き」

プリッとした食感とミルキーな味わいがたまらない「牡蠣」。生で食べるのはもちろんのこと、煮ても焼いても美味しく、今が旬真っ盛りです。いろいろな牡蠣料理がありますが、ふんわり食感で牡蠣の旨味たっぷりの一品が、この味噌焼き。お酒を愛する料理研究家の大原千鶴さんに、つくり方とそのコツを教えていただきました。

手間いらずで食べ飽きない牡蠣を冷酒が引き立ててくれます

ご紹介するのは味噌をのせて焼く、田楽風のグリル焼きです。牡蠣は生のままでも美味しいのですが、焼くと牡蠣独特の旨味が凝縮され、生とは違った美味しさを楽しめます。大事なのは鮮度と、よく洗って水気をきること。大根おろしで洗う方もいらっしゃいますが、面倒なので私はいつも塩水で洗うだけ。これで十分です。

アルミホイルの上に、味噌をのせた牡蠣を並べてグリルで焼くだけなので、料理が苦手という方でも失敗なくつくれます。味噌をのせることでボリュームアップし、牡蠣の美味しさが引き出されます。また焼くと香ばしさが加わり、お酒とも好相性に。お酒好きにとってはいいことずくめなんです。

ポイントは焼きすぎないことです。焼き加減はお好みですが、加熱しすぎると硬くなってしまうので様子を見ながら調整してください。味噌に焼き色がついて、牡蠣がぷっくっと膨らんだら完成です。

牡蠣自体に旨味がたっぷりあるので、味噌だけで美味しく仕上がり、ご飯にもお酒にも合う味わいになります。お酒はよく冷えた冷酒がお薦めです。濃厚な牡蠣の旨味を底上げしてくれ、やみつきになりますよ。

牡蠣の味噌焼きのつくり方

材料材料 (2~3人分)

牡蠣8粒(100g)
★ 塩水
・ 水300ml
・ 塩大さじ1/2
A
・ 味噌大さじ1
・ 砂糖大さじ1/2
・ 味醂大さじ1/2
・ おろしにんにく少々
細ねぎ少々
粉唐辛子適宜

1牡蠣の下処理

塩水の入ったボウルに、牡蠣を入れてサッと洗い、キッチンペーパーを敷いたバットにのせて水気をきる。

牡蠣の下処理

2味噌をつくる

Aを合わせる。

3焼く

魚焼きグリルにアルミホイルを敷き、①をのせる。上に②を等分にのせ、強火で2~3分、牡蠣がプリッとするまで焼く。

4仕上げる

器に盛り、小口切りにした細ねぎをちらす。好みで粉唐辛子をつけてもよい。

完成

教える人

大原千鶴 料理研究家

大原千鶴 料理研究家

京都・花脊の料理旅館「美山荘」が生家。小さな頃から自然に親しみ、料理の心得を学ぶ。現在は家族五人で京都の市中に暮らし、料理研究家としてテレビや雑誌、講習、講演など多方面で活躍。シンプルなレシピに定評があり、美しい盛りつけにもファンが多い。着物姿のはんなりとした京女の印象とは対照的に、お酒をこよなく愛す行動派。レシピはお酒を呑んでいる時に思いつくのが一番多い。近著「大原千鶴のいつくしみ料理帖」(世界文化社)がある。

文:西村晶子 撮影:福森クニヒロ

西村 晶子

西村 晶子 (ライター・編集者)

関西在住のライター、時々編集者。京都の和食を中心に、老舗から新店までを分け隔てなく幅広く取材。2006年8月号「明石の老舗に、至福の柔らか煮、タコ飯を習う」で初執筆。2018年5月号より「京都『食堂おがわ』の季節ごはん」、2021年5月号より「京都『食堂おがわ』の妄想料理帖」の連載を担当。