柔軟な発想を持った東京・飯田橋にある酒場「ル ジャングレ」の有澤貴司シェフらしい、ユニークな組み合わせの豆皿つまみレシピです。つくり置きできるペーストやたれから、いくつもの料理を展開!肉も刺身も、野菜も果物も、身近な素材がガラリと表情を変えて、酒選びも楽しくなる味わいに大変身。
フレンチを中心に修業してきた有澤貴司シェフが、2016年にオープンさせた「ル ジャングレ」。木を多用したナチュラルでおしゃれな店内だが、「ここは“居酒屋”です」と有澤シェフ。
その言葉どおり、料理はオールジャンル。パテやリエットもあれば、中華風の春巻きやポテトサラダ、唐揚げも。昆布や鰹のだしを使った、和テイストの料理もある。お酒は、きれいな味わいのナチュラルワインを約600種、日本酒も20種類前後取り揃えている。
「いろいろなパーツをアーティスティックに組み合わせるのも素敵だけど、自分の店ではなかなか難しい。だから食材を無駄なく上手に組み合わせることで、お客さんに驚いて、おいしいと喜んでもらいたいなと」
今回は、そんな有澤シェフが考案した万能焼きなすペーストと、醤油ベースの魔法のたれを使って、身近にある食材を組み合わせに、あっと驚くユニークなつまみを紹介。
さらに、合わせる酒を選ぶのも有澤シェフの得意技。料理と酒の味や香りに共通点を見出したり、足りない味わいの要素を補って選んだりと自由自在。
酒に合わせてつまみをつくるもよし、つまみに合わせて酒を選ぶもよし。「あまり難しく考えずに、ない食材は近い食感と味わいのもので代用して、味見しながら好みの味に近づけていってください」と、有澤シェフ。つまみづくりも酒選びも、柔軟に楽しもう。
チーズをたっぷり入れて、アンチョビで塩気を足した焼きなすのペースト。出来たてはふんわりと優しい口当たり。冷蔵庫に入れると食感も味も締まる。バターのような感覚で、のせたり、和えたりアレンジ自在。
なす | 3本(約450g)(大きめのもの) |
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オリーブオイル | 25g |
アンチョビ | 8g |
粉チーズ | 75g |
なすは、焼いたときの蒸気を逃すために、お尻のほうから箸などで奥まで穴をあけておく。
コンロや魚焼きグリルの直火で、強火でなすを焼く。全体が焦げて、中まで火が通るように転がしながら焼く。
流水にさらしながら皮をむく。水は切らずにボウルにあげておく。
ヘタを切ったなす、オリーブオイル、アンチョビ、粉チーズをフードプロセッサーに入れて滑らかになるまで回す。
見た目から想像できないほどの焼きなすの香ばしさと、たっぷり入ったチ ーズのコク。出来たてのミルキーな味わいを、焼いたパンにのせてほの温かく食べるのが一番のお薦め。バゲットやカンパーニュはもちろん、柔らかい食パンに塗ってはちみつをかけても美味。
パン | 1枚(バゲットやカンパーニュ、食パンなど) |
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万能焼きなすペースト | 適量 |
ペコリーノチーズ | 適量(パルメザンチーズやブルーチーズで代用可) |
パンをトーストする。
焼けたパンの上に焼きなすのペーストをのせ、ペコリーノチーズを削りながらかける。
ホテルのフレンチや、東京・西麻布にあるフレンチレストラン「OHARA ET CIE」などを経て、27歳のときに学芸大学で「ワイン酒場booze」を開店し大繁盛店に。その後、2016年に飯田橋に場所を移し、ナチュラルワインと日本酒が充実した「ル ジャングレ」を開店。ジャンルレスの料理と心地よい空間に、多くの人が魅了されている。
文:浅妻千映子 撮影:竹之内 祐幸