箸でひとつずつ口に運びながらちびちびと酒を飲む。そんな秋の夜長の晩酌にうってつけなつまみ料理です。器と料理の組み合わせを提案する店「カモシカ」を主宰するオカズデザインさんに、器の紹介と、その器を引き立たせる、目にも舌にもおいしいレシピを教わりました。
艶のある黒漆の小さな小皿は、木工作家、山口和宏さんが端材を使ってつくったもの。木を削り出したやわらかな丸みと、手のひらにすっぽりとおさまる感じがいい。深く静かな漆黒は、何をのせても品よく上質に見える気がします。ゆでた大豆をだしに浸したひたし豆は、器をお猪口のようにしてだしも飲みながらどうぞ。白和えのみょうがは、さっと炒めてから柑橘果汁でマリネして色を鮮やかに。いちじくは皮がおいしいけれど、歯ざわりが気になるので、オーブンで乾燥させてから衣で和えています。
いちじく | 2個(かためが好ましい) |
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みょうが | 3個 |
絹ごし豆腐 | 1丁 |
ピーナッツオイル | 大さじ1 |
A | |
・ 柑橘の搾り汁* | 大さじ2 |
・ 米酢 | 大さじ1/2 |
B | |
・ みりん | 小さじ2弱 |
・ 白味噌 | 大さじ1 |
・ 白練り胡麻 | 大さじ1 |
・ 塩 | 小さじ1/2 |
豆腐はしっかりと水きりをする。
フライパンにピーナッツオイルを入れて中火で熱し、みょうがを加えて炒める。外側が少ししんなりしたら塩少々(分量外)をふり、蓋をして弱火にする。5~6分ほどしたらAを加え、火を止めて粗熱が取れたら縦に四つ割りにし、再度Aにつけたまま冷蔵庫で30分以上おく。
いちじくをさっと洗ってキッチンペーパーで水気を拭き、手で大きめの一口大に裂く。天板にのせて塩少々(分量外)をふり、100℃のオーブンで20~30分焼き、セミドライにする。粗熱を取っておく。
1の豆腐とBをフードプロセッサーでなめらかになるまで撹拌し、2と3を和え、器に盛る。
だしに浸したひたし豆は、器をお猪口のようにしてだしも飲みながらどうぞ。
大豆 | 100g |
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昆布 | 1枚(5cm角) |
A | |
・ 酒 | 大さじ2 |
・ 塩 | 小さじ1 |
・ 醤油 | 少々 |
唐辛子 | 1本 |
オリーブオイル | 適宜 |
香菜 | 適宜 |
大豆はたっぷりの水に一晩漬けてもどす。
ザルにあげて水気をきってから、鍋に入れる。新鮮な水をかぶるくらいまで注ぎ、火にかける。沸騰したらごく弱火にし、好みのかたさになるまで1時間ほど煮る(野菜の切れ端などがあれば一緒に入れて煮ると風味がよくなる)。
豆を引き上げ、ゆで汁に昆布を入れ、10分以上浸す。
3の汁にAを加えて火にかけ、沸騰直前で火を止めて唐辛子を加える。粗熱が取れたら3の豆を戻し入れ、冷蔵庫で3時間以上おく。
器に盛る。好みでオリーブオイルや刻んだ香菜などをかけてもおいしい。
2000年、吉岡秀治・吉岡知子が結成。“時間がおいしくしてくれるもの”をテーマに、書籍や広告のレシピ制作・器の開発・映画やドラマの料理監修などを手がけている。2008年より東京都杉並区にて、器と料理の店「カモシカ」を不定期でオープンし、作家の器の展示や季節の保存食の販売をはじめ、食にまつわる企画を開催。『二菜弁当』(成美堂出版)など著書多数。
※この記事の内容は、四季dancyu「秋のレシピ」に掲載したものです。
文:藤井志織 写真:伊藤徹也