“ガスパチョ”によく似た名前のスープは、漁師があり合わせの素材でつくったのが始まりとか。ゆでた海老やアサリとマヨネーズが醸し出す、優しい味わいの一品です。ガスパチョの世界は広くて、深い!今回はさまざまなガスパチョを、マドリード滞在歴14年の料理研究家、丸山久美さんに教えてもらいました。
アンダルシアの沿岸の町で生まれた“ガスパチュエロ”。ガスパチョとは似て非なるものなのに、なんでこんなに名前が似ているのか。
最近でこそ、魚介のブイヨンを加えて、よりコクのある仕上がりにするレストランなどもあるが、もともとは、海老やアサリ、ときには白身魚をさっとゆで、そのゆで汁でじゃがいもをゆでて、この地方で愛されるマヨネーズを加えたシンプルな風味のスープが“ガスパチュエロ”。考えてみれば、“ガスパチョ”自体が、手近な素材を合わせただけ、そこに新大陸からやってきたトマトやピーマンを加えたものだ。漁師町で手近な魚介と、これまた新大陸からやってきたじゃがいもをゆでただけのものを“ガスパチュエロ”という、よく似た名で呼んだとしても、不思議ではない。
マヨネーズはスペインでは自家製が基本。ぜひ家庭ででつくってみよう。
アサリ | 150g |
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海老 | 4尾 |
じゃがいも | 2個(150g) |
にんにく | 少量(すりおろし、好みで) |
卵白 | 1個分 |
★ マヨネーズ | |
・ 卵黄 | 1個分 |
・ オリーブオイル | 60ml |
塩 | 適量 |
胡椒 | 適量 |
レモン汁 | 1/2個分 |
※記事中掲載のオリーブオイルは、すべてエキストラバージンオイルを使用。
じゃがいもは小さな角切りにする。アサリは砂抜きしておく。海老は背ワタを取り除く。
鍋に水3と2/3カップを入れ沸騰したら、アサリと海老を入れる。アサリは殻が開いたら取り出す。海老は2分ほどゆで、取り出す。
2の煮汁にじゃがいもとにんにくを入れ、沸騰したら弱火にして蓋をして10分ほどやわらかくなるまでゆでる。後でマヨネーズへの追加用に、別の器にゆで汁を1/2カップくらい入れて粗熱を取っておく。
卵白を溶き、鍋のゆで汁に流し入れてさっと混ぜ、火を止める。
皿に卵黄を入れて少しずつオリーブオイルを入れ、とろりとなるまでよく混ぜる。これを繰り返しながらマヨネーズをつくる。
卵黄が白っぽいクリーム状になったら、3のゆで汁を少しずつ入れながらさらに混ぜる。
4の鍋に6を混ぜながら入れ、再び火にかけて温める。塩、胡椒、レモン汁で味をととのえる。器に入れ、2の海老、アサリを浮かべて出来上がり。
ツアーコンダクターとして世界中を回った後、スペイン・マドリードで14年暮らす。2001年に帰国後は、スペインの家庭料理を中心に料理教室を主宰しながら雑誌やウェブでも活躍。著書も多数出版。
この記事は技ありdancyu!「スープ」に掲載したものです。
文と構成:風来 青 撮影:尾嶝 太