揚げ物というとちょっとつくるのが大変な印象がありますが、ひとつひとつ丁寧に工程を追っていけば、失敗せずに美味しく仕上がります。料理名を聞いたら、味を浮かべることができる、そんな、誰もが知っているおなじみのおかずを、料理研究家の大庭英子さんに教えてもらいました。
「とりから」の愛称で多くの人に愛される家庭料理。もともとは中国の伝統料理である鶏を揚げたひと皿にヒントを得て、日本のレストランで考案されたもので、外食の筆頭にあげられるメニューだったとか。
いわゆる「ごちそう」であったこの料理は、時を経て、今や夕食に、お弁当にと絶大なる人気を誇る日常のおかずになりました。老若男女に長く愛されている料理だからこそ、自宅で手づくり。
表面はカリカリ、中はじんわりとジューシーな揚げたてを頬張る幸せを噛みしめてください!
鶏もも肉 | 600g |
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★ 下味用 | |
・ 酒 | 大さじ1 |
・ 醤油 | 大さじ1 |
・ 生姜汁 | 小さじ1 |
・ 片栗粉 | 大さじ3 |
揚げ油 | 適量 |
レモン | 適量(くし形切り) |
鶏肉は縦半分に切ってからそれぞれを3等分する。
ボウルに入れて下味用の材料を加えていく。
手でもむようにしながら下味をなじませる。
そのまま30分おいて下味をつける。
下味がしみ込んだ鶏肉はキッチンペーパーでしっかりと水分を拭き取ること。これをすれば、片栗粉が薄くつき、表面カリカリのから揚げになる。
片栗粉を全面につけたら、二つを持 って軽くぶつけ合って余分な粉をはたき落とす。これも、片栗粉がボタッとしない軽いから揚げにするポイント。
揚げ油を中温(170~175℃)に熱して鶏肉を入れる。一度にたくさん揚げると油の温度が下がってしまうので、表面にすき間があるくらいを目安に2回に分けて揚げる。
2~3分たったところで鶏肉を返し、さらに2~3分揚げる。
泡が細かくなってパチパチと弾ける音が軽快になったら火をやや強めて油を高温にする。温度が高くなると油がさらりとするので、余分な油が鶏肉から落ちて軽い仕上がりになる。残りも同様に揚げて器に盛り、レモンを添える。
身近な食材を使い、特別な調味料を使うことなくつくるシンプルな料理は、圧倒的においしいと定評がある。和洋中を問わず、多くのカテゴリーのメニューを提案。その斬新なアイデアには目をみはるものがある。
※この記事の内容は、手ほどきdancyu「基本の い」に掲載したものです。
文:中村裕子 写真:松本祥孝