食への愛が溢れるフランスの家庭料理
ほろっとやわらかく煮たご馳走"コック・オゥ・ヴァン"

ほろっとやわらかく煮たご馳走"コック・オゥ・ヴァン"

元々はかたくて食べにくい雄鶏などを、地元産の赤ワインで煮込むクラシックな料理です。調理用にも、飲むときにも、同じブルゴーニュワインにするとベストマッチ。フランスと深くかかわり、グランメゾンから家庭の料理まで広く精通しているサルボ恭子さんに、長く愛され続ける家庭料理を習いました。

“コック・オゥ・ヴァン”のつくり方

コック・オゥ・ヴァンは、休日にゲストを迎えるときなど、おもてなし料理の定番。ここでは、ワインの量や口当たりの重さを加減し、クラシックな料理をつくりやすくしているのでぜひチャレンジを。

材料材料 (2人分)

鶏もも肉2本(骨付き)
鶏肉の重量の1%(鶏肉用)
★ マリネ液
・ 赤ワイン50ml (*)
・ 玉ねぎ3枚(薄切り)
・ にんじん2枚(薄い輪切り)
・ 黒胡椒数粒分(粒、たたく)
A
・ にんじん1/2本分(100g)(5mm角に切る)
・ 玉ねぎ1/2個分(110g) (5mm角に切る)
・ セロリ1/2本分(40g)(5mm角に切る)
B
・ 赤ワイン350ml(*)
・ 水300ml
・ ローリエ1枚
C
・ ベーコン60g(幅5mmの短冊切り)
・ 小玉ねぎ3個(皮をむく)
・ マッシュルーム6個(石突きを切り落とす)
植物油大さじ1
★ ブールマニエ
・ バター20g(食塩不使用)
・ 小麦粉大さじ2
適量
胡椒適量
食パン2枚(サンドイッチ用)
パセリの葉少々(みじん切り)

*マリネ液と煮込みに使う赤ワインは、ブルゴーニュ産のミディアムボディのものが最適。

1マリネする

鶏肉に塩をまぶし、ポリ袋に入れる。マリネ液の材料をすべて入れ、空気を抜いて口を縛り、冷蔵庫で一晩ねかせる。

マリネする

2鶏肉を焼く

1の鶏肉を取り出し、キッチンペーパーで水気をしっかりと拭き取る。マリネ液はザルでこし、液体のみとっておく。煮込み鍋に植物油を入れて中火にかけ、熱くなったら鶏肉の皮目を下にして入れる。しばらく触らずに焼き、こんがりといい色がついたらひっくり返してサッと焼く。いったん火を止め、鶏肉を取り出す。

鶏肉を焼く

3野菜を炒める

鍋を弱火にかけ、Aを入れて焦がさないように炒め、しんなりしたらBと2のマリネ液を入れる。

野菜を炒める

4煮る

2の鶏肉を皮目を上にして重ならないように戻し入れて中火にする。沸いたら火を弱め、蓋をして20分煮る。この間に、ブールマニエのバターを室温にもどし、小麦粉を練り合わせておく。

煮る

5煮汁をこす

鶏肉がほぼ煮上がったら、火から下ろして鶏肉をいったん取り出す。ボウルにザルを重ねて煮汁をあけ、Aの野菜を押しながらしっかりとこし取る。

煮汁をこす

6ブールマニエを加える

5でこし取った煮汁のみを鍋に戻し入れて中火にかける。Cを加え、ブールマニエを入れて全体に溶かし込んだら、煮汁にとろみがつき、 Cとブールマニエに火が通るまで、ヘラで混ぜながら10分ほど煮る。

ブールマニエを加える

7なじませる

6に鶏肉を戻し入れ、5、6分煮てなじませる。味をみて、足りないようなら塩でととのえ、胡椒をふる。すぐに食べられるが、いったん冷まして冷蔵庫に一晩おくと、味が丸くなってさらにとろみがつき、煮汁の色も一段濃くなる。

なじませる

8仕上げ

食パンを半分に切り、細長いハ ート形になるよう包丁で切り込みを入れ、オーブントースターで焼く。ハートの下部に煮汁を少しつけてパセリのみじん切りを貼りつける。煮込んだ小玉ねぎを半分に切り、鶏肉やほかの具材、ソースとともに器に盛りつけ、ハート形の食パンを添える。

完成

教える人

サルボ恭子 料理家

サルボ恭子 料理家

料理家の叔母に師事したのち、渡仏。パリの名門ホテル「オテル・ド・クリヨン」の厨房に勤務。現在は東京で料理教室を主宰。フランス家庭料理を軸に、さまざまなテーマで活動する。著書も多数。

文:鹿野真砂美 写真:宗田育子

この記事は四季dancyu「春のキッチン」に掲載したものです。

四季dancyu「春のキッチン」
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A4変型判(120頁)
2021年3月13日発売/1100円(税込み)
鹿野 真砂美

鹿野 真砂美 (ライター)

1969年東京下町生まれ。酒と食を中心に執筆するフリーライター。かつて「dancyu」本誌の編集部にも6年ほど在籍。現在は雑誌のほか、シェフや料理研究家のレシピ本の編集、執筆に携わる。料理は食べることと同じくらい、つくるのも好き。江戸前の海苔漁師だった祖父と料理上手な祖母、小料理屋を営んでいた両親のもと大きく育てられ、今は肉シェフと呼ばれるオットに肥育されながら、まだまだすくすく成長中。