dancyu本誌から
トロトロ、艶々のご飯泥棒"ヒキタ家の東坡肉"

トロトロ、艶々のご飯泥棒"ヒキタ家の東坡肉"

dancyu2月号「挽き肉が主役」で、親子での餃子づくりを見せてくれた作家・ヒキタクニオさん。食卓でキラリと輝いていた、ヒキタ家の東坡肉(トンポウロウ)のレシピをご紹介します。

圧力鍋で一気に煮込んだ豚バラ肉は、皮も脂身もトロットロ。甘く艶やかな煮汁とからめて頬張れば、白飯を欲さずにいられない! 味がよくしみたゆで卵も、絶品。

料理が大好きなハードボイルド作家・ヒキタクニオさんは、作家デビュー以来、小説に出す料理は必ず自分でつくってみるという徹底ぶり。本誌2月号「挽き肉が主役」では、五香粉が香る焼き餃子を披露してくれた。

撮影前に編集部から、日常的な食卓の風景を撮りたいので何かもう一品お願いできないか?と頼んだところ、つくってくれたのが中国料理“東坡肉(トンポウロウ)”。
「我が家の定番です。使う醤油はふつうの醤油でもいいんだけど、中国醤油を使うとね、やっぱり味の深みが違います。珍しい皮付きの豚肉も、この中国醤油も『業務スーパー』で買ったんですよ。あそこの品揃えは面白い!」とヒキタさん。

撮影中、スタッフ全員が絶賛し、炊飯器を空にしたトロトロの煮込み。感激していたら、レシピまで教えてくれました。ぜひお試しください!

“ヒキタ家の東坡肉”のつくり方

材料材料 (4人分)

皮付き豚バラ塊肉800g
中国醤油大さじ1杯(*)
A
・ 味覇大さじ1と1/2
・ 五香粉小さじ1
・ 長ねぎ青い部分1本分
・ 生姜1片
・ 水750ml
B
・ 紹興酒300ml
・ 中国醤油90g
・ 砂糖45g
・ オイスターソース大さじ山盛り2
水溶き片栗粉大さじ2(片栗粉:水=1:1)
ゆで卵適量
ちんげん菜適量(付け合わせ)

*コクと甘味のある中国の醤油。使うと味に深みが出るが、なければたまり醤油や濃口醤油でもよい

1豚肉の皮の筋を切る

豚肉の皮側全体に包丁の切っ先を深さ1cmほど刺し、筋を切る。豚の皮は硬く、フォークぐらいじゃ太刀打ちできないので注意。ミートテンダー(筋切り器)があれば楽にできる。

2醤油を揉み込んで焼く

1の豚肉に醤油を回しかけ、手で揉み込む。熱したフライパンで全ての面に軽く焦げ目がつくまで焼く。

3圧力鍋で煮る

圧力鍋に2の豚肉とAを入れ、圧が掛かってから30分煮る。

4調味してさらに煮る

Bを加え、さらに15分間、圧をかけて煮る。串を刺してみてまだ硬ければ、もう10分、圧をかけて煮る。

5ゆで卵を入れる

ゆで卵を入れて、蓋を開けたまま5分煮る。火からおろし、冷ます。一度冷ますことで、豚肉とゆで卵に味が染み、色が濃くなる。

ゆで玉子を入れる

6仕上げ

鍋を再び火にかけてあたたまったら、水溶き片栗粉を入れてとろみをつける。付け合わせのちんげん菜は別鍋で色鮮やかにゆでる。豚肉、卵を器に盛り、ちんげん菜を添えて完成。

仕上げ
最初に焼き固めているから煮崩れせず、口に入れた途端に、ホロリ。付け合わせの青菜はお好きなものでOKで、春菊もおすすめ。濃い香りと味がトンポウロウに格別に合う。

教える人

ヒキタクニオ 作家

1961年、福岡県生まれ。2000年に『凶気の桜』で作家デビュー。『鳶がクルリと』『触法少女』ほか著作多数。自らの体験を綴った『「ヒキタさん、ご懐妊ですよ!」男45歳・不妊治療はじめました』は、2019年に映画化された。

ヒキタクニオ

撮影:川原﨑宣喜 文:編集部