ご飯に混ぜる酢を、柑橘から絞った汁でつくることで、普通のいなり寿司とは違う、爽やかで優しい味わいに仕上ります。器と料理の組み合わせを提案する店「カモシカ」を主宰するオカズデザインさんに、器の紹介と、その器を引き立たせる、目にも舌にもおいしいレシピを教わりました。
いなり寿司のような一見、地味な料理をシンプルに盛るだけでも、オーバル皿だと迫力が出て、場が盛り上がります。丸皿より盛りつけのバランスがとりやすいのも、オーバル力。ひと口食べれば、だしの風味がきいた甘さ控えめのお揚げのなかにふわー っと柚子が香り、きゅっとした酸味が後を引くおいしさ。夏場は米を30分、冬なら1時間、浸水させるのが、上手に炊くコツです。
米 | 2合 |
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昆布 | 1枚(5cm四方) |
柚子の皮 | 1/2個分(せん切り) |
★ お揚げ煮 | |
・ 油揚げ | 6枚 |
・ 鰹と昆布のだし | 1カップ |
・ 醤油 | 大さじ2~2と1/2 |
・ 砂糖 | 30g |
・ みりん | 大さじ1 |
★ 柑橘酢 | |
・ 柚子の搾り汁 | 大さじ2 |
・ 柑橘類の搾り汁 | 20ml(かぼす、すだち、レモンなど) |
・ 砂糖 | 小さじ1弱 |
・ 淡口醤油 | 大さじ1 |
・ 昆布 | 1枚(3cm四方) |
・ かつお節 | ひとつかみ |
油揚げを半分に切り、めん棒などを転がしてはがれやすくし、開く。
お揚げ煮をつくる。大鍋にたっぷりの湯を沸かし、1の油揚げを軽くゆでて油抜きをし、ザルにあげる。湯をかけ流しながら、破かないように気をつけ、水分を押し出す作業を2~3回繰り返す。
鍋にだしと調味料を入れてよく混ぜてから、 2の油揚げを加えて火にかける。沸騰したらごく弱火にし、煮汁がほとんどなくなるまで煮る(焦がさないように注意)。そのまま1晩おく。
土鍋に水360mlと昆布を入れて、1時間おく。米をといでザルにあげ、水気をしっかりきってから土鍋に加えて炊く。
柑橘酢の材料をボウルに入れ、よく混ぜる。米が炊ける直前にザルでこす。
4が炊き上がったら昆布を取り出し、すぐに5の柑橘酢と柚子の皮を混ぜ、うちわであおいで水分をとばし、冷ます。
3のお揚げに6を詰めて完成。
2000年、吉岡秀治・吉岡知子が結成。“時間がおいしくしてくれるもの”をテーマに、書籍や広告のレシピ制作・器の開発・映画やドラマの料理監修などを手がけている。2008年より東京都杉並区にて、器と料理の店「カモシカ」を不定期でオープンし、作家の器の展示や季節の保存食の販売をはじめ、食にまつわる企画を開催。『二菜弁当』(成美堂出版)など著書多数。
文:藤井志織 写真:伊藤達也