器と料理の組み合わせを提案する店「カモシカ」を主宰するオカズデザインさんに、器の紹介と、その器を引き立たせる、目にも舌にもおいしいレシピを教わりました。今回は、チーズオムレツです。
丁寧に手間をかけた、普遍的な料理をテーマとする夫婦の料理家ユニット、オカズデザイン。素材を生かしたシンプルな料理だからこそ、盛りつける器選びには、誰よりも真剣に向き合ってきた経験があります。バリエーション豊かな器を愛用しているなかでも、まず、どれか一つ選ぶなら……と悩みに悩んで答えてくれたのがオーバル皿でした。
「お客様たちから『よく使っています』という声が多いのが、このオーバル皿なんです。ヨーロッパのアンティークの器を型にしてつくったもので、いたってスタンダードな形。ヨーロッパで長年愛されてきた形には、やっぱり使いやすい理由があるのではないでしょうか」
オカズデザインにとってオーバル皿の何よりの魅力は、盛りつけやすさだとか。難しく考えなくても、ポンとのせればサマになるというから、うれしい限りです。とはいえ、「おしゃれな料理しか似合わないのでは?わが家は和食が多いのですが……」という心配も。ご安心ください。「日常的なおかずもしっくりハマるのが、このオーバル皿のすごいところ。形自体によそ行き感があるので、なんでもないおかずが端正に見えるのです。和洋中にこだわらず、朝ごはんから夕食、デザートまで、一日中使えますよ」
その魅力をお伝えすべく、この連載ではオーバル皿を使ったシーンの数々をたっぷりと紹介します。もちろんそこにのせる、夏につくりたい料理のレシピも併せてご紹介。ぜひ試してみてくださいね。
オーバルの大皿をおもちの人は、盛り皿として使用することが多いのではないでしょうか。でもこうして、朝ごはんなどのときに1人分の料理を盛り合わせるワンプレート使いもおすすめです。人数分揃えなくても、それぞれが違うオーバル皿を使うのも楽しいですよ。オムレツは卵を丁寧に溶き混ぜることで、ふんわり、なめらかな食感に。パンは、ちぎりながらオムレツやサラダとともに食べることを想定し、手前に盛りつけて。
卵 | 3個(Mサイズ) |
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フレッシュチーズ | 40g(リコッタチーズ、フロマージュブランなど) |
生クリーム | 大さじ2 |
バター | 15g |
細かい粒の塩 | ひとつまみ |
粗い粒の塩 | ひとつまみ |
あさつき | 1本分(小口切り) |
ボウルに卵を割り入れ、生クリームと細かい粒の塩を加え、白身と黄身が完全に混ざってコシがなくなるまで、泡立て器でよく混ぜる(泡立てないように注意)。
径約20cmのフライパン(フッ素樹脂加工のもの、またはよく油がなじんだ鉄製)を中弱火にかける。
バターを入れて溶かし、全体に回してから、強火にして1を一気に入れる。細めのスパチュラか菜箸で混ぜながら、もう片手で常にフライパンを動かして半熟まで焼く。中央にフレッシュチーズをのせ、フライパンの柄を持ち上げて手前から1/3くらいを折り返す。
フライパンの柄をたたきながら、縁を利用してひっくり返し、とじ目を下にする。そのまま器に移す。キッチンペーパーをかぶせて手で形を整える。ペーパ ーをはずし、粗い粒の塩をふり、あさつきを散らす。
2000年、吉岡秀治・吉岡知子が結成。“時間がおいしくしてくれるもの”をテーマに、書籍や広告のレシピ制作・器の開発・映画やドラマの料理監修などを手がけている。2008年より東京都杉並区にて、器と料理の店「カモシカ」を不定期でオープンし、作家の器の展示や季節の保存食の販売をはじめ、食にまつわる企画を開催。『二菜弁当』(成美堂出版)など著書多数。
文:藤井志織 写真:伊藤達也