ワインにとってチーズは最高の供。そのまま皿に盛るだけでもいいけれど、それでは何だか寂しい夜も。いつものチーズに手を加えて、家飲みがますます楽しくなる珠玉のおつまみレシピをご紹介!
鎌倉の路地裏にあるワインバー「ビーノ」のシェフ、阿部剛さんは、先輩の畑を手伝い、自らも畑を持つほどの野菜好き。
そんな阿部シェフ、野菜には、チーズを調味料的な感覚で合わせて使うのだと言う。
「僕にとってチーズは塩代わり。といっても、少量で味がついてしまう、塩気のきついものは好きじゃありません。やわらかな塩気のものをたっぷり使って、チーズの醍醐味を楽しめるつまみに仕上げます」
その言葉通り、今回教わったのは、塩は入れてもほんのわずかか、ほとんどが塩要らずのレシピ揃いだった。
味の骨格を成すチーズは、旨味の塊でもある。だから、チーズを野菜に合わせるだけでグッと味が深まり、少ない材料で抜群においしいつまみができるというメリットもある。
蒸したカリフラワーには、コクのあるペコリーノチーズをたっぷりかけるだけ。皮付きのじゃがいもには、独特な塩辛さを放つプルーチーズを混ぜるだけ。そんな、圧倒的な手軽さが適うというわけだ。
「赤、白、どちらにも合うつまみばかりです。ガツンとした料理ではないので、赤ならサンジョヴェーゼやピノ・ノワールなどの、味の強すぎないワインがいいですね」
チーズの旨味に誘われて、1杯、2杯、3杯……と杯を重ねても、野菜たっぷりのつまみだから気分は健康的。食べて飲むほどに、幸せな気分で酔いしれます。
モッツァレラチーズ | 1個 |
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プチトマト | 2パック |
万能ねぎ | 適量 |
白ワイン | 40ml |
塩 | 適量 |
オリーブオイル | 適量 |
黒胡椒 | 適量 |
モッツァレラチーズは小さめの一口大に切る。万能ねぎは斜め切りにする。
フライパンに、オリーブオイル、ヘタを取ったミニトマト、塩少量を入れる。中火にかけ、時々混ぜる。
いくつかのトマトの皮に亀裂が入り始めたら弱火にし、白ワインを加える。1 を加えて、チーズが少し溶けたら火を止める。黒胡椒をふって完成。
「ビーノ」(現在は閉店)のシェフ。2009年ワインに合う惣菜店を開いた後、2012年ワインと野菜料理とパンが楽しめるワインバーにリニューアル。2021年からは店舗での営業はせず、満月の日に「出張満月ワインバー」としてあらゆるところで活動をしている。
文:安井洋子 写真:日置武晴
※この記事はdancyu2013年12月号に掲載したものです。