今宵はスパイシーな香りをまとわせた銀杏で、日本酒を一献いかがでしょう? 全4回の日本酒ペアリング講座の2回目は、酒と食材の引き立つ風味を楽しむ組み合わせ。ペアリングのコツを知れば、家飲みがグッと楽しくなりますよ。
「酒と料理をうまく組み合わせると、寄せた味の中から引き立つ風味を見つけることができるはず」と話すのは、酒好きが集う下北沢の小料理店「namida」の店主、田嶋善文さん。
引き立つ風味をフックにして酒を飲み進めるのが、ペアリングの醍醐味だそうだ。
ペアリングレシピ3品目は、殻に割れ目を入れてレンジでチンした銀杏に、クミンを効かせたオリーブオイルを纏わせた簡単つまみ。ほっこりとした風味にスパイシーさが加わり、香りだけでも酒が進みそうだ。
ドライな口あたりでやわらかい旨味、酸味のある酒に合わせると、銀杏とクミンの複雑な風味が良いアクセントになる。米の優しい風味が際立ち、次から次へと酒を呼ぶペアリングだ。
銀杏 | 40g |
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クミンホール | 3g |
オリーブオイル | 小さじ2 |
塩 | 少々 |
銀杏の殻をとんかちなどで叩き、割れ目を入れる。封筒に銀杏を入れ(なければ深めの皿に入れ、ラップをする)、600Wのレンジで約2分温める。一つでも弾ける音がしたら銀杏を取り出す。
フライパンにクミンホールとオリーブオイルを入れ、弱火で熱する。クミンが焦げないように混ぜ、香りが立ってきたら銀杏を殻ごと加える。好みの量の塩で味つけして炒め合わせたら皿に盛る。
「日本酒には、やはりちゃんとした和食が合います」と田嶋さん。
舞茸、小松菜、油揚げといった食材を鍋で軽く焼きつけて、和風だしでさっと煮つける。具材を先に焼くことで、旨味と風味を丁寧に引き出した一品。
米の優しく甘やかな味わいがある日本酒と口にすると、具材とだしが寄り添ってふっくらとした余韻が広がっていく。派手さはないが、お互いの旨味が合わさり、クリアな米の味わいが引き立つ組み合わせだ。
舞茸 | 50g |
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小松菜 | 100g |
油揚げ | 1枚 |
A | |
・ 和風だし | 200ml |
・ 料理酒 | 大さじ2 |
・ 味醂 | 大さじ2 |
・ 淡口醤油 | 小さじ2 |
オリーブオイル | 大さじ2 |
塩 | 少々 |
舞茸は石突きを取って一口大の大きさに割く。小松菜と油揚げは舞茸と同じ大きさに切る。
フライパンでオリーブオイルを中火で熱し、1を炒める。
小松菜から水分が出てきたら、Aの調味料をすべて入れひと煮立ちさせる。塩で味を調えて皿に盛りつけたら出来上がり。
熊本県天草出身。日本料理、イタリアン、ソムリエを経て2014年下北沢に「日本酒とワインと小料理 namida」をオープン。"食中酒と食"をテーマに掲げ、国内外のケータリングや酒蔵、写真家、病院、器作家ともコラボレーションして幅広い分野で活躍する。
日本酒とワインと小料理 namida
【住所】東京都世田谷区北沢2-28-7 エルフェアシティⅡ 1階
【電話番号】03-6804-7902
【営業時間】18:00~23:00(L.O.)
【定休日】不定休
文:河野大治朗 写真:萬田康文