日本酒にレモンクリームパスタ&ムニエル! と驚きの組み合わせを披露するのは酒と食を供す小料理屋「namida」の田嶋善文さん。全4回の日本酒ペアリング講座の1回目は、酒と料理の味わいを寄せるコツ。日本酒は和食、という定番から飛び出した自由な味をぜひお試しあれ!
「酒と料理の美味しい関係を築くコツは、お互いの風味を寄せ合うことです」と言うのは世田谷にある「namida」の店主、田嶋善文さん。
日本酒と小料理を合わせたペアリングで驚きを生むことに、日々心を砕く料理人だ。
一見ハードルが高そうに感じるペアリングだが、むずかしく考えず直感を頼りに試すことが大切。好きな酒にいろいろな味覚を合わせて、相性を探るだけでも家飲みの楽しさはグッと広がるという。
「酒と料理が奇麗に合わさることで、より印象的に感じる風味があるはずです。ぜひ、自由な発想でペアリングしてみてください」
田嶋さんが一品目に披露してくれたのは、レモンを使ったクリームパスタ。
果実の酸味と皮の苦味がクリーミーな味わいにアクセントを加えて、爽やかな余韻が広がる。仕上げにふりかける粉チーズと上にのせた粒マスタードは、複雑な風味を醸し出す。
「日本酒とパスタという組み合わせは意外でしょう。ニュアンスの近い風味同士であれば、和と洋でも好相性です」と田嶋さん。
日本酒とともにクリームをまとったパスタを口に含むと、コクと甘味がぴったりと寄り添う。
じんわりと広がる酸味とチーズの相性はワインのペアリングを思わせる華やかな味わいだ。
パスタ | 90g |
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玉ねぎ | 1/4個 |
レモン | 1/4個 |
にんにく | 1片 |
バター | 10g |
生クリーム | 100㎖ |
粉チーズ | 15g |
オリーブオイル | 大さじ1 |
塩 | 適量 |
黒胡椒 | 適量 |
粒マスタード | 適量 |
エクストラバージンオリーブオイル | 適量 |
大きめの鍋に湯(分量外)を沸かして塩(湯1ℓに対して約小さじ2)を入れ、パスタを表示時間どおりにゆで始める。
フライパンに皮をむいて潰したにんにく、スライスした玉ねぎ、オリーブオイルを入れ弱火で炒める。にんにくが茶色く色づいてきたら、バターとクリームを加えてひと煮立ちさせる。塩で味を調える。
ゆで上がったパスタと大さじ2のゆで汁を2のソースと合わせる。中火で熱してソースにとろみがついたら、レモンの果汁を搾り入れ果実ごと加える。皿に盛りつけたら、粉チーズ、黒胡椒、エクストラバージンオリーブオイルをかけて、粒マスタードを好みの量のせる。
「2品目も日本酒と洋風の香りを合わせます。クラシカルで落ち着いた酒の味わいと、豊潤なバターの香りの組み合わせです」と田嶋さんが取り出したのは、真っ白なかまぼこ。
薄く小麦粉をまぶして、こんがりソテーするムニエルに仕立てるという。
たっぷりとバターを含んでプリプリとしたかまぼこは、ジューシーでリッチな味わい。
仕上げに垂らした醤油がふくよかな香りと合わさり、ノスタルジックな風味となる。
穏やかな米のコクを感じる日本酒と合わせると、乳酸が心地よく混ざり合うペアリングだ。
かまぼこ | 150g |
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ケッパー | 10g |
小麦粉 | 大さじ1 |
バター | 30g |
塩 | 少々 |
胡椒 | 少々 |
醤油 | 小さじ1 |
かいわれ大根 | 適量 |
かまぼこを1.5㎝幅に切り、小麦粉を薄くまぶす。
フライパンにバターを入れて中火にかける。バターが溶けたら余分な粉を落としたかまぼこを入れる。焼き目がついたら裏返す。鍋肌から醤油をまわしかける。
かまぼこの裏面に焼き色がついたら皿に盛り付け、ケッパーとかいわれ大根を添えて出来上がり。
熊本県天草出身。日本料理、イタリアン、ソムリエを経て2014年下北沢に「日本酒とワインと小料理 namida」をオープン。"食中酒と食"をテーマに掲げ、国内外のケータリングや酒蔵、写真家、病院、器作家ともコラボレーションして幅広い分野で活躍する。
日本酒とワインと小料理 namida
【住所】東京都世田谷区北沢2-28-7 エルフェアシティⅡ 1階
【電話番号】03-6804-7902
【営業時間】18:00~23:00(L.O.)
【定休日】不定休
文:河野大治朗 写真:萬田康文