マグロと酢飯は、米の味わいがする日本酒に相性抜群! 全4回の日本酒ペアリング講座の最終回は、どっしりとした旨味で日本酒の個性を受け止めます。より引き立つ米の風味を感じてみてください。
「日本酒の肴としてお薦めしたいのは酢飯です!」と言うのは、酒と小料理のペアリングで食通を楽しませる「namida」の店主、田嶋善文さん。
甘味、塩味、酸味、旨味をもつ酢飯は、甘口な酒や辛口な酒でもぴったりと寄り添ってくれる懐の深い肴だという。
酢飯の上にのせるのは、赤い照りが食欲をそそるマグロ。
膨らみのある味わいの酒を、赤身の魚が持つ力強い旨味がどっしりと受け止めてくれる。酢飯と魚の風味とともに日本酒の心地よい酸が引き立って印象的だ。
「卵焼きとガリものせれば、酒の甘味にも寄り添うことができます」と楽しげに丼を盛りつける田嶋さん。
ペアリングさせる酒の味わいに合わせて、具材を自由にカスタマイズしていくのが、丼の醍醐味の一つだそうだ。
白米 | 150g |
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マグロ | 100g |
卵焼き | 50g |
万能ねぎ | 適量 |
大葉 | 2枚 |
海苔 | 適量 |
白胡麻 | 適量 |
ガリ | 適量 |
すし酢 | 大さじ1と1/2 |
淡口醤油 | 小さじ1 |
味醂 | 小さじ1 |
わさび | 適宜 |
白米を炊く。マグロと卵焼きは食べやすい大きさに切る。万能ねぎは小口切りにする。
白米が炊けたら、すし酢を加えて切るように混ぜ合わせる。丼に酢飯を盛りつけ、大葉、海苔をちぎってのせて白胡麻をふりかける。
マグロ、卵焼き、ガリを彩りよく盛りつけて、万能ねぎをふりかける。淡口醤油と味醂を合わせて回しかけ、お好みでわさびを添えたら出来上がり。
最後のペアリングは、シャープでキレのある風味で米の余韻をたっぷりと感じる2本。
野菜、肉、だしの旨味が凝縮した肉じゃがで受け止める。
「肉じゃがの仕上げにはプチトマトを加えます。甘味と旨味で受け止めた米の味わいをトマトの酸味が引き締めてくれるので、次の酒を呼び込む後味になりますよ」と語る田嶋さん。
日本酒がもつシャープな酸と、トマトのフルーティな酸が口内で混ざり合うと、飲み飽きないきれいな飲み口の中にスッと米の優しい味わいが顔を出す。
旨味と酸味がお互いに引き立て合う組み合わせだ。
牛肉 | 130g(スライス) |
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プチトマト | 8個 |
じゃがいも | 1個 |
にんじん | 1/2本 |
玉ねぎ | 1/2個 |
絹さや | 適宜 |
サラダ油 | 大さじ1 |
A | |
・ だし | 400ml |
・ 酒 | 大さじ4 |
・ 味醂 | 大さじ4 |
・ 淡口醤油 | 大さじ4 |
・ 上白糖 | 大さじ4 |
じゃがいも、にんじん、玉ねぎは皮をむいて、一口大に切る。絹さやはサッとゆでる。
サラダ油をひいた鍋でじゃがいも、にんじん、玉ねぎを中火でサッと炒める。Aを入れてひと煮立ちしたらアクを取り、落とし蓋をして弱火で20分煮る。
牛肉と指で潰したプチトマトを鍋に入れる。肉に火が通ったら、火を止めて冷ます。再び温めて皿に盛りつける。絹さやを彩りよく飾ったら出来上がり。
熊本県天草出身。日本料理、イタリアン、ソムリエを経て2014年下北沢に「日本酒とワインと小料理 namida」をオープン。"食中酒と食"をテーマに掲げ、国内外のケータリングや酒蔵、写真家、病院、器作家ともコラボレーションして幅広い分野で活躍する。
日本酒とワインと小料理 namida
【住所】東京都世田谷区北沢2-28-7 エルフェアシティⅡ 1階
【電話番号】03-6804-7902
【営業時間】18:00~23:00(L.O.)
【定休日】不定休
文:河野大治朗 写真:萬田康文