酒米を知れば、日本酒がもっと楽しく!
日本酒ペアリング講座③『苦味で余韻にキレをつくる』

日本酒ペアリング講座③『苦味で余韻にキレをつくる』

あん肝と奈良漬けのレタス巻きを甘味がある酒と合わせると驚きの味わいに!全4回の日本酒ペアリング講座の3回目は、苦味のある食材で味わいの余韻にキレをつくります。ペアリングのコツを知れば、家飲みがグッと楽しくなりますよ。

会津の酒に苦味を添えてキレを出す

会津で造られた2本に小料理屋「namida」の田嶋善文さんが組み合わせたのは、あん肝。
とろっと溶けるような食感のあん肝と発酵のコクがある奈良漬けを合わせることで、優しい甘味を感じる酒の味わいに寄せているという。
「ポイントは、あん肝と奈良漬けを巻いているレタスです。シャキッとした瑞々しい食感とともに感じる苦味が、じんわり広がる甘味やコクをまとめてスッキリと流し込みます。酒の甘味に飽きることなく飲み進められるペアリングです」と田嶋さん。

あん肝と奈良漬けのレタス巻き
会津娘」と「天明」の優しい甘味にあん肝と奈良漬けのコクがぴったり寄り添う。

あん肝と奈良漬けのレタス巻きのつくり方

材料材料 (4~5人分)

あん肝300g
グラニュー糖50g
50g
料理酒大さじ2
奈良漬け100g
レタス4枚

1あん肝を蒸す

あん肝にグラニュー糖と塩を合わせてまぶし40分置く。蒸し器を用意して温めておく。水洗いしたあん肝の血管と膜を取り除き、縦半分に切って料理酒をひと振りする。ラップであん肝をまとめて巻いて、さらにホイルで巻き、30分蒸して粗熱が取れたら冷蔵庫に入れる。

あん肝
すでに蒸してある市販のあん肝でも代用できるが、丁寧に下ごしらえをすると穏やかで雑味のない味わいに仕上がる。

2具材を用意する

ボウルに冷水を用意する。鍋に湯をわかしレタスを5秒ほど湯がいて、冷水に取る。奈良漬けは縦長になるよう1cm幅にスライスする。

3巻く

湯がいたレタスの根本に、あん肝と奈良漬けを重ね置き、端から巻いていく。一口大の大きさに切って皿に盛りつける。

フレッシュな香りに合わせるハーブの苦味

ペアリングレシピの6品目は、ブリとディルを合わせたなめろう風タルタル。
田嶋さん曰く、「具材を叩いて合わせるだけのお手軽つまみですが、酸味、旨味、苦味のバランスがいい味わいです。ディルの風味がフレッシュな香りの日本酒によく合いますよ」。
実際に酒と合わせてみると、それぞれのフレッシュな香りが混ざり合い、酒と魚の旨味の背景に、味噌の複雑な酸味とコクが潜んでいることに気づく。酒の余韻がハーブの苦味と同調してきれいに消えていくことで、また次の一口が欲しくなる組み合わせだ。

なめろう風ブリのタルタル
瑞々しい香りとスッキリとまとまった上品な味わいの「鳳凰美田」と「一白水成 premium 」には魚、ハーブ、味噌が複雑味を与える。

なめろう風ブリのタルタルのつくり方

材料材料 (2人分)

ブリの切り身80g
味噌小さじ1と1/2
ミニトマト3個 (小)
ディル適量
大葉1枚
かいわれ大根適量
少々
胡椒少々
エクストラバージンオリーブオイル小さじ1

1叩く

ブリの切り身を粗く刻む。味噌を合わせて粗いミンチ状になるまで叩く。

2合わせる

ボウルに入れたブリを塩、胡椒、エクストラバージンオリーブオイルで味を調える。
ミニトマトを5mm角に、好みの量のディルを粗いみじん切りにして、ボウルに加えて混ぜ合わせる。

3盛る

皿に盛って、せん切りにした大葉とかいわれ大根を添えたら出来上がり。

なめろう風ブリのタルタル
ディルの量はお好みで調整。トマトの半分ほどの量が目安。

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協力していただいた人とお店

田嶋 善文(たしま・よしふみ)

熊本県天草出身。日本料理、イタリアン、ソムリエを経て2014年下北沢に「日本酒とワインと小料理 namida」をオープン。"食中酒と食"をテーマに掲げ、国内外のケータリングや酒蔵、写真家、病院、器作家ともコラボレーションして幅広い分野で活躍する。

日本酒とワインと小料理 namida
【住所】東京都世田谷区北沢2-28-7 エルフェアシティⅡ 1階
【電話番号】03-6804-7902
【営業時間】18:00~23:00(L.O.)
【定休日】不定休

文:河野大治朗 写真:萬田康文