芯にするしその分量や火の通し加減をマスターすれば、感動的なおいしさにが味わえます!衣と油を駆使して、野菜のポテンシャルを引き出す調理法天ぷら。東京・外苑前にある天ぷら屋「元吉」の店主・元吉和仁さんに、野菜天ぷらをおいしく揚げる秘密を習いました。
天ぷらは「野菜をおいしく食べるための優れた調理法です」。こう話すのは東京・外苑前の「天ぷら元吉」の主人、元吉和仁さん。天ぷらにすれば、野菜の甘味や香りが引き出されて香ばしさも加わる。薬味に使うような地味野菜でも、堂々主役を張れるのだ。
天ぷらづくりで最も重要なのは衣。「これができれば、成功したも同然です」と元吉さんは断言する。ポイントは薄い衣の上に濃い衣を重ね、その野菜が一番引き立つ厚さにしてやること。やや難しく感じるかもしれないが、大丈夫。野菜は魚介に比べておいしさのストライクゾーンが広いので、初心者でも失敗しにくい。
玉ねぎ、しそ、なすなど身近な野菜も、元吉さんの手法で揚げれば、香りや食感が劇的に変化する。野菜に惚れ直すこと請け合いだ。
しその清涼な香りを満喫できるように考案したのが、しそロール。しそで芯をつくり、それをしそで巻き込みます。芯にはあまり火が入らないので香りがキープできるのです。買うときは小さめの葉を。えぐみが少なく口当たりも柔らかです。ロールの中に衣が入ると食感が悪くなるので、揚げる前によくきりましょう。
しそ | 20~24枚 |
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揚げ油 | 適宜 |
衣 | 適宜 |
薄力粉 | 適宜 |
用意したすべてのしその軸を切り落とす。
表が上になるように3枚重ねる。葉先を手前にして置き、葉先と両端を内側に折り畳む。手前からクルクルと巻いてロール状にする。葉が大きい場合は1~2枚減らしてもいい。
表が上になるように2枚重ねて、葉先を手前にして置く。葉先に2を置き、手前からクルクルと巻き込む。
楊枝などで留める。芯になるロールの横幅が狭すぎると余計な衣が入り込み、食感がもたつくので注意。
全体に薄力粉を薄くつける。楊枝を持ち、衣の薄い部分のみに何回か浸して、全体に衣をまとわせる。揚げ油の温度はやや低めの170℃。油に投入し、すぐにひっくり返す。こうすると全体が固まって、衣が流れにくくなる。
さらに天地を返しながらさらに1~2分揚げる。周りの泡がなくなってきたら引き上げる。
平たく揚げると食感がよくなる。しそを巻かずに揚げると香りはとぶものの、ショリショリとした軽い食感が楽しめる。しその裏のみに薄力粉を薄くはたき、衣の薄い部分のみをつけ、170℃の油に投入。裏返しながら1分ほど揚げる。油に入れるときは、衣をつけた面を下にして、叩きつけるようにするといい。余分な衣が散り、葉が丸まるのを防げるからだ。
1975年生まれ。学生時代に天ぷら職人を志し調理師学校へ。大阪の老舗料亭、都内の天ぷら屋などを経て31歳で独立。理にかなった自由な発想で独自の野菜天ぷらを追究する。
文:上島寿子 写真:湯浅亨
※この記事の内容はdancyu2017年8月号に掲載したものです。