南風薫るたまご料理
ぷるんと仕上がる"切り干し大根のたまご焼き"

ぷるんと仕上がる"切り干し大根のたまご焼き"

台湾といえば、温暖な気候、フレンドリーな人々、そして何といってもおいしいご飯が魅力の旅先です。そんな注目の旅先で普段から食べられているたまご料理ってどんなもの? 台湾に通って十数年の料理家、内田真美さんに南風薫るたまご料理を習いました。

ぷるっと食感と発酵の旨み

巷で盛り上がりを見せる台湾熱。周囲を見渡せば、台湾行った!行きたい!と口にする人たちの、なんと多いことか。温暖な気候、フレンドリーな国民性。何より、ご飯がおいしい 二度、三度とリピートするのも頷ける。そんな、今注目の土地で親しまれるたまご料理って、どんなもの? かれこれ十数年、台湾に通い、 食案内の著書も大人気の料理家、内田真美さんに尋ねてみた。
「台湾の料理は、塩気が優しくてあっさり。そこに八角などスパイスの風味が合わさります。たまごといえば、茶葉とスパイスで煮た味玉はどこでも売っているし、干し大根漬けのたまご焼きは素朴な家庭料理。粉ものとたまご焼きの組み合わせも人気で、私も大好きなんです」
今回教わった干し大根漬けのたまご焼きは、手に入りやすい切り干し大根で手軽につくれる一品だ。淡口醤油で発酵の風味をプラス。焼くときに卵液を混ぜないのが、ぷるんと仕上げるためのコツ 。

切り干し大根のたまご焼きのつくり方

材料材料 (1枚分)

4個
淡口醤油大さじ1/2
切り干し大根約1/3カップ(乾燥)
菜種油適量
長ねぎ1/4本

1下準備

切り干し大根は15分ほど水で戻し、水気を絞って2~3mm幅に細かく刻む。長ねぎは粗みじんに切る。

2大根を炒める

フライパンを中火にかけ、油小さじ1をひき、1の切り干し大根と長ねぎを炒める。しんなりしたら淡口醤油で味つけし、ボウルに取り出す。

大根を炒める

3卵液を混ぜる

2のボウルに卵を割り入れて溶き混ぜる。卵を溶きすぎるとコシがなくなり、ふっくら焼けないので混ぜすぎないこと。

4焼く

フライパンを中火にかけて油大さじ2?3を入れる。煙が出るくらいに熱したら、3の卵液を流し入れる。縁の部分がブワーッと一気に上がってくる。西洋のオムレツのように混ぜたりせず、卵液に触らずそのまま焼くのが中国風。焦げないよう注意。時折、縁から菜箸などを入れて、裏面の焼き目を確認する。泡が出てきたら箸でつぶす。いい焼き色がついたら、底にフライ返しを入れてひっくり返し、もう片面も同様に焼く。

焼く

5仕上げ

両面に焼き色がついたら、火を弱めて火が通るまで好みの硬さに焼く。中央の卵液が半生で箸を入れるとあふれてくるような、ぷるんとした仕上がりを目指す。

仕上げ

教える人

内田真美 料理研究家

内田真美 料理研究家

食いしん坊の一族に囲まれ、幼い頃から異国の料理に親しむ。長年通い続けている台湾の案内本、『私的台湾食記帖』『私的台北好味帖』(ともにアノニマ・スタジオ)は台湾観光のバイブルとなっている。

文:鹿野真砂美  写真:湯浅亨

※この記事の内容はdancyu2017年4月号に掲載したものです。

鹿野 真砂美

鹿野 真砂美 (ライター)

1969年東京下町生まれ。酒と食を中心に執筆するフリーライター。かつて「dancyu」本誌の編集部にも6年ほど在籍。現在は雑誌のほか、シェフや料理研究家のレシピ本の編集、執筆に携わる。料理は食べることと同じくらい、つくるのも好き。江戸前の海苔漁師だった祖父と料理上手な祖母、小料理屋を営んでいた両親のもと大きく育てられ、今は肉シェフと呼ばれるオットに肥育されながら、まだまだすくすく成長中。