独特な風味で存在感を放つ味方も敵も多い香味野菜、パクチー。今回は「パクチーに捨てる所はない」と語る料理研究家、植松良枝さんに初夏にぴったりのレシピを教わりました。好きな人はもっとディープにパクチーを堪能してみませんか?苦手な人も少し興味が出る……、かも。
愛すべきパクチー、香味野菜(ハーブ)としてはアジア各国をはじめ、南米や、意外なところではポルトガルでも頻繁に使われています。わが家でよくつくる、パクチーのサラダの一つに、アボカドと合わせてレモンをキリリと効かせるパパイアのサラダがあります。実はこれ、「セビチェ」というペルー料理から発想を得たもの。
ペルーでは、にんにくとレモン汁と強めの塩、タバスコでマリネした白身魚の刺身を和えます。
日本では、一般的に春か秋に種蒔きをします。芽吹いてすぐはスプラウト状ですが、その後生育するときの気候によって形状が変化。寒い時期に成長すると、地面に沿って放射状に広がっていき、温暖な時期に成長すると、天に向かって伸びていきます。南国のイメージが強いですが、実は冬場にもガッシリとよく育ち、味も濃厚で美味です。
買ってきたパクチーに元気がないときは、全体が完全に浸るようにして、冷水につけましょう。10分もするとしゃきっとしてきます。ただし、浸しすぎても逆効果。日持ちが悪くなってしまいます。パクチーは意外と繊細なのです。
パパイア | 1個 |
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アボカド | 1個 |
レモン | 1~2個(汁を搾る。果肉が入ってもよい) |
赤玉ねぎ | 1/4個 |
パクチー | 好みの量 |
オリーブオイル | 大さじ2~3 |
コリアンダーシード | 小さじ1 |
一味唐辛子 | 適量(レッドペッパー) |
塩 | 適量 |
胡椒 | 適量 |
・パクチーは葉の部分を摘み、茎の硬いところは細かく刻む。手に入れば、花の部分も別にしておく。
・パパイアは包丁で皮をむいて半分に割り、種を除いて一口大に切る。
・アボカドは半割りにして種を除き、皮をむいて一口大に切り、レモン汁1個分をかけて色どめをする。
・赤玉ねぎは繊維に沿ってスライスし、水にさらす。
・コリアンダーシードはすり鉢やミルサーなどで好みの粗さに挽いておく。
パパイア、アボカド(レモン汁ごとすべて)、刻んだパクチーの茎をボウルに入れて軽く混ぜる。
水気をしっかりきった赤玉ねぎを加えてひと混ぜし、オリーブオイルとスパイス類を入れ、軽く塩、胡椒をして、よく混ぜ合わせる。レモンの酸味で酸っぱくして食べるサラダなので、味をみて、好みでさらにレモン汁を加え、塩、胡椒で味を調える。最後にパクチーの葉とあれば花も加え、さっくり混ぜたら完成。
都内の自宅と、神奈川県伊勢原市の菜園を行き来しながら野菜をつくり始めて10年。栽培する品種は年々進化している。合間を縫うようにして食文化研究の旅にも忙しい。
文:植松良枝 写真:邑口京一郎
※この記事の内容はdancyu2013年7月号に掲載したものです。