タイの屋台などでよく食べられているカオマンガイは、あっさりとした旨味が特徴です。さっぱりとした味わいに、パクチーの香りが更に爽快感をプラスしてくれます。
日本でも“海南チキンライス”はすっかり定着しましたが、タイ版は“カオマンガイ”と言います。
タオチオという大豆原料の味噌のような調味料をベースにしてつくるたれが最大の特徴で、今回は味噌で代用してつくります。本場では丸鶏でつくりますが、鶏胸肉でも満足感がありますよ。
日本では、一般的に春か秋に種蒔きをします。芽吹いてすぐはスプラウト状ですが、その後生育するときの気候によって形状が変化。寒い時期に成長すると、地面に沿って放射状に広がっていき、温暖な時期に成長すると、天に向かって伸びていきます。南国のイメージが強いですが、実は冬場にもガッシリとよく育ち、味も濃厚で美味です。
買ってきたパクチーに元気がないときは、全体が完全に浸るようにして、冷水につけましょう。10分もするとしゃきっとしてきます。ただし、浸しすぎても逆効果。日持ちが悪くなってしまいます。パクチーは意外と繊細なのです。
鶏胸肉 | 2枚(400~450g) |
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A | |
・ 塩 | 約12g(鶏肉の重さの3%) |
・ 砂糖 | 大さじ1 |
水 | 1L |
パクチーの根 | 2株分(つぶす) |
にんにく | 1片(つぶす) |
塩 | 適宜 |
米 | 2合(あればジャスミン米) |
サラダ油 | 小さじ1 |
★ トッピング | |
・ パクチー | 適量 |
・ きゅうり | 適量(薄切り) |
・ レモン | 適量(くし形切り) |
・ 生の赤唐辛子 | 適量(飾り切り) |
★ カオマンガイソース | |
・ 味噌 | 大さじ4(麹の粒の多い、白っぽい味噌がお薦め) |
・ 砂糖 | 小さじ2~大さじ1(好みによって加減する) |
・ ナムプラー | 大さじ2 |
・ 醤油 | 小さじ1 |
・ レモン汁 | 大さじ2 |
・ にんにく | 1/2片(みじん切り) |
・ 生姜 | 1/2片(みじん切り) |
・ 生の赤唐辛子 | 適宜(小口切り) |
・鶏肉とAを厚手のポリ袋に入れてもみ、3時間~一晩冷蔵庫に入れて漬ける(このまま2~3日保存することも可能)。
・カオマンガイソースの材料をすべて混ぜ合わせておく。ハンディタイプのミキサーで撹拌してもよい。
下漬けした鶏肉の表面を流水で洗い流し、パクチーの根、にんにくと一緒に鍋に入れ、分量の水を加えて火にかける。鍋が煮立ってきたら、鶏肉が躍らない程度の弱火にして、静かに7~8分ゆでる。火を止めたら蓋をして、余熱で中心まで火を通す。鶏肉は、粗熱が取れるまでゆで汁につけたまま冷ましておくとしっとりする。
2のゆで汁を、パクチーの根とにんにくとともに約2カップ取り分ける。お吸い物よりもやや濃いめの塩気になるように、塩で味を調える。
洗ってしっかりと水気をきった米と3のスープ(熱々でもかまわない)、サラダ油を加え、炊飯器で炊く。ご飯の硬さや炊き加減は好みでよい。
鶏肉を、食べやすい大きさにスライスする。切ったあとも、残りのゆで汁に浸しておくとしっとりする。残ったゆで汁はナムプラーや塩などで味つけし、副菜のスープにするのがお薦め。
ご飯が炊き上がる5分ほど前に炊飯器の蓋を開けて、一緒に炊き込んだパクチーの根とにんにくを取り出し、5を上に広げてすぐに蓋を閉め、時間通り炊き上げ、蒸らす。
皿にご飯と鶏肉を盛り合わせ、好みのトッピングを盛りつけ、ソースを鶏肉にかけたら完成。
都内の自宅と、神奈川県伊勢原市の菜園を行き来しながら野菜をつくり始めて10年。栽培する品種は年々進化している。合間を縫うようにして食文化研究の旅にも忙しい。
文:植松良枝 写真:邑口京一郎
※この記事の内容はdancyu2013年7月号に掲載したものです。