遠くて近いポルトガル料理
だしの効いた"サラサラ炊き込みご飯"

だしの効いた"サラサラ炊き込みご飯"

ポルトガル料理と日本料理の共通点としてよく挙がるのが、「米」を使った料理が多いというものです。今回はタコと香味野菜の「だし」が効いたポルトガル流の炊き込みご飯をご紹介します。

だし香る穏やかな味わい

米を使った料理の種類が多いのも、日本人とポルトガル人の食の 好みの共通項だ。イスラム教徒との長い戦いの中で、米を食べるアラブの文化がポルトガルにも根付いて、各地にさまざまな米料理が残った。隣国スペインのパエリアとはまたひと味違った米料理のバリエーションは、おじや風から炊き込みご飯まで幅広く、魚介類や肉のだしを使った穏やかな味つけは、ポルトガルと日本の味の共通項でもある。
鶏と一緒に米を炊く、かやくご飯やかしわ飯も、ポルトガルの影響が大きいと考えられている。

タコご飯のつくり方

材料材料 (2~3人分)

ご飯茶碗2杯
ゆでダコ200g
500ml
玉ねぎ1/4個
にんにく1片
かぶの葉適宜(小松菜、ほうれん草などでもよい)
オリーブオイル大さじ1強
適宜

1下準備

玉ねぎは粗みじん、にんにくはつぶす。かぶの葉 は粗みじんに切っておく。

2材料に火を通す

鍋にオリーブオイルを熱して1の玉ねぎとにんにくを炒め、玉ねぎが透き通ったら水とゆでダコを 加える。ゆでダコが柔らかくなるまで、中~弱火で1時間ほど煮る。

材料に火を通す

3タコを一口大に切る

ゆでダコを触って、ぐっと力を加えてもはね返ってこなくなったら(弾力がなくなったら)タコだけ 取り出し、一口大に切る。

4ご飯を加え煮込む

3のだしにご飯を加えて中火で5分煮込む。ご飯にだしがなじんだら、かぶの葉と3のタコを加えてひと煮立ちさせ、味をみて塩で調える。

5完成

タコの旨味や香味野菜などのだしが効いた、おじや風のタコご飯。ポルトガルの米は長粒種(インディカ米) なので口当たりはサラサラ。おじやの由来は、隣国スペインの言語「オジャ(鍋)」が語源という説もある。

鴨ご飯

バリエーション豊かな米料理

完成

鴨ご飯
ラードで揚げたり焼いたりした鴨肉を食べやすく切り、鴨肉と香味野菜でとっただしで米と一緒に炊き込む。表面をオーブンでパリッと焼けば、おこげの食感も楽しめる。添えたオレンジのスライスは、お口直し用。

教える人

佐藤幸二

佐藤幸二さん 「クリスチアノ」オーナーシェフ

東京のポルトガル料理シーンを引っ張る第一人者。イタリア留学時代、レストランで働き出したのをきっかけに、イギリス、タイなどで研鑽を積む。ロンドン時代、ポルトガル人がつくった賄い料理のおいしさに感動し、ポルトガル料理に開眼。帰国後、飲食店の立ち上げなどを経て、2010年に独立。

店舗情報店舗情報

クリスチアノ
  • 【住所】東京都渋谷区富ケ谷1-51-10 1階
  • 【電話番号】03-5790-0909
  • 【営業時間】17:00~22:00(L.O.) 土日祝は12:00~14:00 (L.O.)も営業
  • 【定休日】無休
  • 【アクセス】東京メトロ「代々木公園駅」1番出口より1分

文:馬田草織 写真:公文美和

※この記事の内容はdancyu2013年2月号に掲載したものです。

馬田 草織

馬田 草織 (文筆家)

文筆家。おもに食と旅(ポルトガル多め)を書いてます。ほやと納豆とアルコール好き。cakesで「ポルトガル食堂」連載中。著書に『ようこそポルトガル食堂へ』(産業編集センター・幻冬舎文庫)、『ポルトガルのごはんとおつまみ』(大和書房)、最新刊は『ムイト・ボン!ポルトガルを食べる旅』(産業編集センター)。料理とワインを気軽に楽しむ会「ポルトガル食堂」を主宰してます。開催日程などはホームページ(http://badasaori.blogspot.jp)からどうぞ。かつて戦国武将が飲んだ珍蛇酒は、ポートワインかマデイラワインかはたまたシェリーなのか、そのあたりがずっと気になっている。