イタリアでは果物を揚げたデザート「フリット」が親しまれていると語る太田シェフ。その調理法をデザートではなく、レモンを使った食事の一皿としてアレンジしてもらいました。
2月、イタリアのべネチアではカーニバルがあります。そのときに食べるデザートが果物のフリット(揚げ物)。イタリアの果物は、日本のように甘くないので、オレンジやりんごに粉糖をふり、衣をしっかりつけて揚げる。それをレモンでやってみようというのがこの料理です。ただし食事の一品として砂糖ではなく塩をふり、最後にレモンと相性のいいスパイスで風味をつけました。 そして、これまたレモンと抜群に合うイタリアンパセリやバジルの葉を、レモンに巻いてから衣をつけて揚げます。レモンはペクチン、つまり糖分を含むので、加熱すると甘くなり、果肉はとろみが出てムチッとした、今までにない食感になるのです。このフリッターに、ラルド(ラード)や生ハムを巻いても美味しいですよ。
レモン | 3個 |
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★ 【衣】 | |
・ 薄力粉 | 150g |
・ 生イースト | 20g |
・ 水 | 200ml(微調整する) |
バジルの葉 | 2本分 |
イタリアンパセリ | 2本 |
塩 | 適量 |
タンドリーチキンパウダー | 適量(※) |
揚げ油 | 適量 |
※カレー粉やミックススパイスなど、好みの香辛料でOK。
ボウルにふるった薄力粉、イーストを入れ、水を少しずつ注ぎながらダマにならないように混ぜ合わせる。ラップをかけて、常温で4時間以上発酵させ、衣をつくる。
レモンは左右の硬い部分を切り落とし、ピーラーで黄色い表皮をむく。6等分のくし形に切り、房の白い部分を切って種を取り除く。
鍋に揚げ油を180度に熱する。レモン一切れにバジルの葉1枚を巻きつけ、手で衣にくぐらせたら揚げ油に入れる。
こんがり色よく揚がったら取り出し、塩ひとつまみをふってタンドリーチキンパウダーをかける。イタリアンパセリ適量を巻きつけたものも同様にして揚げ、レモン3個分のフリッターをつくる。
長野県軽井沢にある「ラ カーサ ディ テツオ オオタ」オーナーシェフ。長野県白馬村に生まれ、19歳で渡伊。スペイン、ペルーの計3ヶ国で10年を過ごし、2015年に帰国。星付きレストランから、ミラノマダムのプライベートシェフ、ピッツェリア勤務まで幅広い経験を持つ。
文:柴田香織 写真:邑口京一郎
※この記事の内容はdancyu2019年4月号に掲載したものです。