美味しいけれどちょっと重たくもあるフレンチトーストも、太田さんの華麗なレモン使いで、さっぱりだけど飽きの来ない逸品に仕上がります。
フレンチトーストのレモンバージョン。バターの重さをレモンの酸味で軽くします。普通のフレンチトーストの卵液は、牛乳の分量が多いのですが、牛乳にレモンを加えると、牛乳のカゼイン成分が固まってしまうので、卵たっぷりの液にしてください。パンはできれば一晩かけて卵液に漬け込みます。レモンの登場は、フレンチトーストを焼く前。パンの表面に果汁を搾って、牛乳が分離するのを防ぎます。そして、パンを焼く前にスライスしたレモンをバターでソテーするとレモン汁が出て、レモンバターソースができるのです。このソースでパンを焼きます。レモン味の卵液をパンの中にしっかり閉じ込めるイメージで。最後にレモンのスライスをパンの上に戻しますが、返して一緒に焦げ目がつくくらいまで焼きます。レモンの持つ糖分でキャラメリゼされると美味しくなるので、焦げるのを恐れず、ギリギリを攻めましょう。
食パン | 2枚(4枚切り) |
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★ 【卵液】 | |
・ 卵 | 4個 |
・ グラニュー糖 | 20g |
・ 牛乳 | 400ml |
レモン | 1個 |
レモン | 8枚(輪切り) |
バター | 50g |
メイプルシロップ | 適量 |
卵液の材料を混ぜ合わせ、ザルで漉してバットに入れる。耳を切り落とした食パンを卵液に浸し、冷蔵庫に一晩置く。途中でパンの上下を返し、ムラなく卵液に浸す。
レモンは半分に切る。中央に人差し指と中指を差し込んでレモンを回しながら、卵液に浸したパンの両面に果汁を搾る。
フライパンにバターを中火で熱し、バターが溶けたらレモンの輪切りを並べ入れる。果汁が出て、皮がしんなりしたら取り出す。
3のフライパンに2のパンを入れ、焼き色がついたら上下を返す。両面がこんがり焼けたら3で取り出したレモンを均等にのせ、レモンを落とさないようにして、再び上下を返す。
レモンにしっかり焦げ目がつくまで焼き、レモンの輪切りをのせた面を上にして器に盛る。メイプルシロップをかけ、2のレモンの皮を好みの量すりおろして香りをつける。
長野県軽井沢にある「ラ カーサ ディ テツオ オオタ」オーナーシェフ。長野県白馬村に生まれ、19歳で渡伊。スペイン、ペルーの計3ヶ国で10年を過ごし、2015年に帰国。星付きレストランから、ミラノマダムのプライベートシェフ、ピッツェリア勤務まで幅広い経験を持つ。
文:柴田香織 写真:邑口京一郎
※この記事の内容はdancyu2019年4月号に掲載したものです。