塩水に漬けるだけで、絶妙の塩味と歯ごたえになる簡単白菜炒めをご紹介。食材には旨味や苦味、色、香りなどの個性があります。塩だけで調理するからこそ、その素材の持ち味が生きてくるのです。塩の奥深さを知ることのできる料理を、細川亜衣さんに習いました。
中国・西安で食べた炒め物が印象的で、アレンジした料理です。水1リットルに塩大さじ2を加えて、海水に近い塩水をつくることから始めます。ここに白菜を漬けますが、包丁で切らずに手でちぎることで味がよくしみます。同時に白菜の水分が抜けて、浅漬けのようなシャキシャキした食感が生まれます。炒めるときは水気をきらず、むしろ残してフライパンへ。塩水と油が乳化して、これがおいしいソースとなって白菜をコーティングします。
白菜 | 1/4株 |
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★ 塩水 | |
・ 水 | 1L |
・ 塩 | 大さじ2 |
生姜 | 1/2(皮ごと薄切り) |
片にんにく | 1片(半分に切る) |
赤唐辛子 | 2本 |
米油 | 大さじ4 |
酢 | 大さじ2 |
胡麻油 | 適量 |
白菜は軸と葉に切り分け、軸の部分は食べやすい大きさに、葉の部分は大きめにちぎる。
ボウルに水と塩を入れ、混ぜ合わせる。1を加え、30分以上浸す。このとき、炒める順番に、軸の部分を上、葉の部分を下にして浸しておくとスムーズに調理できる。
冷たいままのフライパンに米油と生姜、にんにく、赤唐辛子を入れて中火にかけ、油が熱したら2の白菜の軸の部分をしんなりするまで炒める。白菜を漬けた塩水はおいしいソースの代わりになるので、きらずに入れる。
葉の部分を加えて炒め合わせ、全体がなじんだら酢を回し入れる。火を止めて、香りづけに胡麻油を回しかける。
料理家。シンプルなレシピと素材の持ち味を存分に生かした力強い味にファンが多い。『スープ』『野菜』(ともにリトルモア)など著書多数。
文:石出和香子 写真:在本彌生
※この記事の内容はdancyu2018年11月号に掲載したものです。