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酒肴のための調味料「純米だし醤油」をつくろう!

酒肴のための調味料「純米だし醤油」をつくろう!

日本酒好き、おつまみ好きが泣いて喜ぶ「酒肴調味料」を酒肴家の稲垣知子さんに教わります。素材は純米酒、醤油、昆布、鰹節。日本酒を飲んでいると欲しくなる“だしと醤油”のハーモニーが、酒肴を格段においしく、酒に合う味にしてくれます。まさに酒肴のための調味料です!

酒を飲んでいると“だし”が恋しくなる。

酒肴家の稲垣知子さんは、実にうまそうに酒を飲む人だ。とくに日本酒の際は、これでもかと目尻を下げ、猪口を持つ手はいかにも堂に入っている。日夜、お酒に合う酒肴を研究し続け、20年以上が経つという。
そんな稲垣さんが、酒肴をつくるときに愛用している自家製調味料が“純米だし醤油”だ。
材料は純米酒、醤油、鰹節、昆布。ざっくり言うと全部を火にかけて冷ますだけ。鰹節の香りが豊かで、お湯で割ればちょっとした汁ものになるほど、旨味の濃度は高い。
とはいえ、醤油だけではなく純米酒もたっぷりと入っているから塩味は控えめで、醤油味や塩味が突出することなく、あらゆる料理に多用できる魅力がある。
「材料はできれば上質なものを選んでください。いい材料を使うと、旨味が濃いので少量でもだしが伸びますし、ちょっとかけるだけで、ふつうの素材がずっとおいしくなります」

純米だし醤油のつくり方

材料材料 (つくりやすい分量)

日本酒(純米酒)1カップ
濃口醤油1カップ
昆布3cm角
鰹節10g
醤油は、写真の巽醤油など通常の市販品より味の濃いものを使う場合は3分の2程度の量に減らすといい。日本酒は純米であれば銘柄は問わない。

1 酒を火にかける

小鍋に酒を注ぎ入れて火にかける。鍋の側面に火が回ると焦げる恐れがあるので、鍋底だけに火を当てて沸騰させること。

酒を火にかける
鍋底だけに火を当てて沸騰させる

2 煮切って、醤油と昆布を加える

表面が沸騰してきたら軽くかき混ぜる。吹きこぼれない程度の火加減でよく沸騰させ、アルコールのツンとした香りがなくなるまで煮切ったら、濃口醤油を加える。80度程度まで温度を上げたら、表面を軽く拭き、味がよく出るように細く切り目を入れた昆布を入れる。

鍋の内側の側面についた泡をそのままにしておくと焦げることがあるので落とすこと。
昆布は利尻産が稲垣知子さんのおすすめ。

3 鰹節を加えて、冷ます

たっぷりの鰹節を加え、火からおろす。そのまま冷ましたら出来上がり。鰹節と昆布を入れたまま冷蔵庫で約1ヶ月の保存が可能。

たっぷりの鰹節を加え、火からおろす
冷ましたら出来上がり

下の写真のような琺瑯(ほうろう)製の容器を使って純米だし醤油をつくり、そのまま保存するのが稲垣さんのおすすめ。
純米酒を使っただし醤油は、主役になったり脇役になったり、料理によっていかようにも変化する万能調味料。そのままかけても、煮ても、たれに入れても旨い。

だし醤油がなくなった後の昆布や鰹節は、水を加えて煮出せば二番だしに使える。

明後日(2019年10月3日)は“純米だし醤油”を「かけて」仕上げるおつまみレシピを紹介します!

教えてくれた人

稲垣 知子

稲垣 知子

日本酒をこよなく愛する酒肴家、料理研究家。萩ふるさと大使でもあり、萩焼の作家有志とともに考案した沓形の酒器が好評(東京「籠屋 秋元商店」や神奈川「望月商店」などの酒販店で販売中)。著書に『日本酒マリアージュ』(誠文堂新光社)など。

技あり!dancyuおつまみ
技あり!dancyuおつまみ
A4変型 判( 96 頁)
ISBN: 9784833477208
2018年07月31日発売 / 864円(税込)

文:山内聖子 写真:三浦英絵

山内 聖子

山内 聖子 (呑む文筆家・唎酒師)

公私ともに17年以上、日本酒を飲み続け、全国の酒蔵や酒場を取材し、「dancyu」や「散歩の達人」など数々の週刊誌や月刊誌などで執筆。日本酒イベントやプロに向けたセミナーの講師としても活動している。著書に『蔵を継ぐ』(双葉社)。ただいま、二作目の日本酒本を執筆中。