酸辣湯のつくり方は、複雑なものではありません。中華だしで細切りの具材を煮て、胡椒と酢を効かせた味付けをする。旨味、酸味、辛味が揃えば、絶対にこの具材がなくては成り立たないというものでもなく、とても応用しやすいスープです。
試しにインスタントの醤油ラーメンを鍋でつくり、酢と胡椒をたっぷり入れて片栗粉でとろみをつけ、溶き卵を流してみてください。酸辣湯風になっておいしいですよ。砂糖をほんの少し入れるのが味のバランスをとるポイントです。
じっくりつくる酸辣湯のレシピでは、鶏ガラでとったスープをだしに使いました。これをもっと手軽なだしに変えるとしたら何かと考えます。ネットで酸辣湯のレシピを調べてみると、プロアマともに、顆粒の中華スープを使うケースが圧倒的に多いようです。顆粒の中華スープは気軽ですし、具材の種類がたっぷりあるときは悪くないのですが、手軽につくるために具材を少なくすると、中華スープが主張しすぎる味になってしまいます。
最も手軽な方法では、鶏むね肉や、豚バラ肉のせん切りを入れることです。淡いだしが出て優しいスープになります。ただ、肉を刻むのがちょっと手間ですね。とはいえ、野菜だけでは物足りない。
そこで、干し椎茸を使います。干し椎茸は、深い旨味のだしが出ると同時に、具材としても使えて一石二鳥。いっそのこと、具は干し椎茸だけというのもありかもしれない、と思ったのが今回のレシピです。
干し椎茸の戻し汁を火にかけて煮立て、片栗粉でとろみをつけ、卵でとじます。卵の旨味もあり、十分なおいしさのスープになります。干し椎茸はスライスしてあるものをレンジにかけると、あっという間に戻ります。
本格派の酸辣湯とはまた違う、あっさりとしたおいしさで、おかずがたっぷりあるようなときはこうしたシンプルなスープのほうが良いぐらいです。これが十分においしいということを覚えると、あとは家にある食材、好きな具材を気軽に足してアレンジできます。
思い立ったら5分でできる、酸辣湯。今日の献立にぜひ加えてみてください。
干し椎茸 | 2g(カット) |
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卵 | 1個 |
水 | 300ml |
塩 | ひとつまみ |
醤油 | 小さじ1 |
片栗粉 | 小さじ2 |
酢 | 小さじ1 |
胡麻油 | 小さじ1 |
胡椒 | 適量 |
ラー油 | 適宜 |
干し椎茸と水300mlを器に入れラップをして600wのレンジに3分かける。
1を鍋に移して、中火にかける。煮立ったら塩と醤油を入れ、同量の水で溶いた片栗粉を加える。
卵を溶いて加え、火を止めて酢と胡麻油も加える。器に盛り、上から胡椒をふってでき上がり!
――つづく。
文:有賀薫 写真:キッチンミノル