本格インドカレーやおしゃれなスパイスカレーが街に溢れて、はや幾年。普通のカレーが食べたいんだけど……と思うこと、ありませんか?昭和から受け継がれてきたシンプルでやさしいあの味。家でポークカレーをつくりましょう!
子供の頃、家カレーといえばポークカレーだった。
学校の給食でもデパートの食堂でもカレーには豚肉、玉ねぎ、じゃがいも、にんじんの四天王が必ず入っていた。幼い頃の味の記憶は静かに潜伏して、時折ひょいっと顔を出しては懐かしい食卓の情景をありありと思い出させてくれる。
料理研究家・上田淳子さんの家カレーの定番も、やっぱりカレールウを使った王道ポークカレー。
「豚肉は肉の厚みや部位にバリエーションがあって使いやすいし、値段も手頃です。春夏秋冬、家族からリクエストが絶えないカレーは、旬の野菜と豚のいろいろな部位を組み合わせることで季節感を出し、食べ飽きないように工夫をしています。基本の王道ポークカレーは時間をかけてゆっくり丁寧に仕込みますが、時間がないときは15分でできるのが、カレーの間口の広さ。最近、料理に目覚めた息子たちも真似をしてスープカレー、煮込みカレー、ドライカレーとバリエーションを楽しんでいます」
家族を満面の笑顔にする、季節のポークカレー。早速、今夜いかがですか。
豚肉 | 300g(肩ロース、バラなどのカレー・シチュー用角切り) |
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塩 | 適量 |
胡椒 | 適量 |
小麦粉 | 適量 |
玉ねぎ | 3個 |
にんじん | 大1本 |
じゃがいも | 2~3個 |
生姜 | 小1片(すりおろし) |
にんにく | 1片(すりおろし) |
りんご | 小1/2個 |
サラダ油 | 大さじ4 |
カレー粉 | 小さじ1 |
ローリエ | 1枚 |
カレールウ | 約100g |
トマトケチャップ | 大さじ1 |
バター | 20g |
玉ねぎ2個は薄切りにする。残りの玉ねぎ1個は具材用。くし形切りにする。にんじんは乱切り、じゃがいもは大ぶりに切り、水にさらしておく。
鍋にサラダ油大さじ3を入れて、1の玉ねぎの薄切り、生姜、にんにくを加える。弱めの中火にかけ、ときどき混ぜながら、茶色になるまで30分ほど炒める。ずっと混ぜ続けるのではなく、しんなりして水気がなくなってきたらしばらくおき、色がつき始めたら木ベラで鍋底をこすりながら混ぜる。
豚肉は塩、胡椒をして表面に薄く小麦粉をまぶし、余分な粉をはたいておく。フライパンにサラダ油大さじ1/2を入れて、強めの中火にかける。熱くなったら、豚肉を並べ、全面にこんがり焼き色をつける。
焼き色がついたら火をいったん止めて、カレー粉を加え、豚肉にカレー粉をからめて2の鍋に加える。
さらに、同じフライパンに水800ml(分量外)を入れて中火にかけ、鍋底のカレー粉をこそげ取って2に加える。
3の鍋が沸いたらアクを取り、ローリエを加えて弱火にし、蓋を少しずらしてのせ15分ほど煮る。3で洗ったフライパンに、サラダ油大さじ1/2を入れ中火で熱し、1で切ったにんじん、水気をきったじゃがいも、具材の玉ねぎをさっと炒めて3の鍋に加え、全体を混ぜ10分ほど煮る(蓋は再び、ずらしてのせる)。
りんごをすりおろし、火をいったん止めてカレールウ、ケチャップとともに加え、全体を混ぜる。しばらくおいてルウが溶けたら全体を混ぜ、再度弱火にかけ5分ほど煮る。
仕上げにバターを混ぜ込んで完成。器にごはんを盛り、たっぷりカレーをかける。
明日はチキンカレーです!
神戸市生まれ。スイス、フランスのホテル、レストラン、シャルキュトリーなどで研鑽を積む。帰国後はパティシエを経て料理教室を主宰するほか、テレビや雑誌で活躍。双子の子育て経験を生かした食育、家庭料理からフランス料理まで、レシピは幅広い。『かんたん仕込みですぐごはん』(世界文化社)など著書多数。
文:瀬川慧 撮影:宗田育子