「参鶏湯」(サムゲタン)は鶏肉と漢方食材を使ったスープ。韓国では、参鶏湯で滋養をつけて暑い夏を乗りきるそうです。有賀薫さんが披露する、手軽な食材を使ったレシピで参鶏湯をつくりましょう。
参鶏湯(サムゲタン)を本気でつくるとなると、手間がかかります。丸鶏、高麗にんじん、干し棗(なつめ)など、完璧に再現するには手に入りにくい食材が多いので、買い出しから意気込まなければなりません。
丸鶏でつくる参鶏湯がおいしいということは知りつつ、やはり鶏1羽は、なかなか手が出にくい。ネットやレシピ本の家庭向けレシピでは、手羽元や水炊き用の骨付きもも肉を使ったつくり方がほとんどです。骨からは良いスープが出るのですが、肉のボリュームは少ないし、やや迫力に欠けます。
もうひとつのハードルが、高麗にんじん、棗、栗などの副素材です。手に入りづらいし、残ってしまっても使い道に困りますよね。鶏肉と一緒に煮込むだけの、参鶏湯用スパイスミックスが売られているので、最初はそれを使おうかなと思いました。でも、どれがおいしいのかわからないし、添加物がどれぐらい入っているのかも気になります。メーカーを指定したらさらに気軽に買えなくなります。
改めて参鶏湯のおいしさってなんだろう、と考えたとき、スープの深い旨味と鶏肉を食べた!という満足感が原点なのかなと思いました。
骨から出る旨味と肉の食べ応えを両立させるために、手羽元ともも肉を合わせて使います。一度バラした鶏を再現する感覚です。手羽元は、手羽先でも旨味のあるスープになるでしょう。
高麗にんじんや棗など入手しにくい素材はすっぱり省き、香りづけにはにんにく、しょうが、ねぎだけにしました。薬膳独特の風味は薄れますが、これならどこでも手に入ります。
米は必須です。もち米でなくても構いません。米のとろみと鶏のスープが混ざり合って、スープに参鶏湯らしいテクスチャーが生まれます。
鶏は、湯通ししてから煮始めましょう。すっきりと臭みのないスープになります。たっぷりの刻みねぎを添えて、熱々を食べてくださいね。
鶏もも肉 | 1枚 |
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手羽元 | 4本 |
米 | 25g |
にんにく | 2片 |
しょうが | 10g |
ねぎ | 1/2本 |
塩 | 適宜 |
胡椒 | 適宜 |
直径12cm以上の鍋に半分くらいまで水を入れ、強火にかけて沸騰させる。鶏もも肉を4つに切り、手羽元と一緒に鍋に入れる。鶏肉の表面が白くなったら、ざるに上げて、流水でアクを洗い流す。
鍋に下ゆでした鶏肉、米、にんにく、しょうが、ねぎの青い部分、塩小さじ1/2を入れ、具材が浸る程度の水(分量外)を加えて中火にかける。沸騰したらアクを取り除き、50分煮込む。
塩と胡椒で味を整える。器に移し、ねぎの白い部分を薄切りにして添える。
――つづく。
文:有賀薫 写真:キッチンミノル