豚肉をさっぱり、がっつり食べる。
豚肉と塩熟成。

豚肉と塩熟成。

豚肉を塩で熟成させましょう。豚肉に塩をまぶして冷蔵庫でねかせることで、余計な水分が抜け、旨味が凝縮して段違いの味に。豚肉の楽しみ方が変わります!

塩の力で、豚肉の旨味が凝縮!

パンチェッタ、ベーコン、生ハム、スーチカーなど豚肉を塩で熟成させる保存食品は、世界各国で発達してきました。
塩をまぶしてねかせることにより、肉に浸透して、豚の臭みと余計な水分が抜けることが熟成のポイント。
豚肉がいつもよりむっちりしっとりした質感に変化し、旨味が凝縮して別次元のおいしさとなるのです。
塩漬けの牛肉が“Corned Beef”すなわち“コンビーフ”なように、豚肉を塩水につけたり塩をまぶして熟成したものは、欧米では“Corned Pork”と呼ばれます。

今回はをゆでてほぐした“塩豚”に野菜を添えた“コンポークの生野菜包み”を紹介します。豚肉をがっつり豚肉も、爽やかなソースと一緒に生野菜で巻いて食べれば、サラダ感覚でヘルシーに食べられます。

彩り豊かな野菜をたっぷり盛り付ければテンションが上ります!
彩り豊かな野菜をたっぷり盛り付ければテンションが上ります!

コンポークの生野菜包み

材料

材料材料 (つくりやすい分量)

豚肩ロース肉500~600g(ブロック)
大さじ1
生姜5枚(薄切り)
長ねぎ1本分(青い部分)
A 赤唐辛子1本分(小口切り)
A 花椒小さじ1/2(砕く)
A サラダ油大さじ1
A 砂糖小さじ1
A 黒酢大さじ2

1 豚肉に塩をすり込んでねかせる

豚肉に塩をすり込む。できるだけ空気が入らないように袋の口を結び、冷蔵庫でねかせる。豚肉から水分が出て、旨味がグッと凝縮するまで1週間熟成させるのがおすすめ。

豚肉に塩をすり込んでねかせる
塩を豚肉の全面にしっかりとまぶす。
豚肉に塩をすり込んでねかせる
肉全体を均等に熟成させるため、肉を空気に触れないようにする。

2 豚肉をゆでる

冷蔵庫から出して豚肉の表面をよく洗い、鍋に入れる。水600ml(分量外)と生姜、ねぎを加えて強火にかける。沸騰したらアクを取り、弱火にして蓋をずらしてのせ、1時間ほどゆでる。ゆで汁が煮詰まっているようなら、肉がかぶるぐらいの水を加える。再度強火にし、沸騰したら弱火にして蓋をずらしてのせ、30分ほど煮る。火を止めてそのまま粗熱をとる。

豚肉をゆでる
ゆで汁ごと冷まして、旨味を肉に閉じ込める。

3 豚肉をほぐす

豚肉が常温まで冷めたら鍋から取り出してボウルに入れ、手でほぐしておく。

豚肉をほぐす
塩の力でしっとりとやわらかい仕上がりに。
豚肉をほぐす
塊が少し残るぐらいまでほぐす。

4 たれを加えて混ぜる

鍋にAを入れて強火にかけ、沸騰したら30秒ほど煮立たせる。熱いうちに豚肉に回しかけて箸で混ぜる。

たれを加えて混ぜる
たれを熱いまま混ぜることで、肉の隅々まで味を染みわたらせることができる。

豚肉を爽やかに彩る、たれとつけ合せ。

塩熟成で旨味を増したコンポークを、たっぷりの野菜と一緒においしく食べるための、つけ合わせと2つのたれをご紹介します。

干しえびにタイの発酵シュリンプペースト“カピ”を足した、旨みたっぷりの“エスニックだれ”。にんにくと青唐辛子の刺激があとから効いてくる!

パクチー、ねぎ、生姜にキウイを合わせた“香味だれ”は、甘酸っぱく、爽やかな味わいで食欲が進みます。

大根、にんじんと青唐辛子を甘酢で和えた“なます”は、シンプルながら塩熟成して旨味を増した豚肉とバッチリ合います。そのまま食べて口の中をリフレッシュさせるのもいい。

たれ
タイのシュリンプペーストの旨味とカシューナッツの濃厚さが癖になる味わいの “エスニックだれ”(上)、香味野菜の風味とキウイの酸味が鮮烈な“香味だれ”(下)、青唐辛子が爽やかなアクセントの“なます”(左)。

エスニックだれ

エスニックだれ

材料材料 (つくりやすい分量)

醤油大さじ1
レモン汁大さじ1(または米酢)
A 干しエビ大さじ1
A 紫小玉ねぎ30g(または紫玉ねぎ)
A にんにく小さじ1(すりおろし)
A 青唐辛子2~3本
A カシューナッツ220g
A ココナッツシュガー大さじ1/2(または三温糖)
A カピ大さじ1(タイのシュリンプペースト)

1 混ぜる

Aをすり鉢や乳鉢に入れて、ペースト状になるまですり潰す。醤油とレモン汁を加えて混ぜる。

香味だれ

香味だれ

材料材料 (つくりやすい分量)

長ねぎ1/2本(みじん切り)
生姜大さじ1(みじん切り)
パクチー20g(みじん切り)
キウイ1個分(すりおろし)
ナンプラー大さじ2
米酢大さじ2
サラダ油大さじ1

1 混ぜる

すべての材料を器に入れて混ぜる。

なます

材料材料 (つくりやすい分量)

大根200g(千切り)
にんじん30g(千切り)
青唐辛子1本分(小口切り)
A 砂糖大さじ2
A 酢大さじ2
A 塩小さじ1/4

1 和える

大根、にんじんをボウルに合わせて塩少々をまぶす。5分ほど置いて水けを搾る。A、青唐辛子を加えて和える。

パクチー、えごまの葉、かいわれ菜、レタス、ラディッシュなどの野菜を添えて、コンポークとお好みのたれを巻いてどうぞ。
パクチー、えごまの葉、かいわれ菜、レタス、ラディッシュなどの野菜を添えて、コンポークとお好みのたれを巻いてどうぞ。

「豚肉をさっぱり、がっつり食べる。」は、これにて終了です。「豚肉」と聞いても身構えずに、がっつりヘルシーに食べていただければ嬉しく思います。

教える人

みないきぬこ

みないきぬこ

料理家。女子栄養大学卒業後、枝元なほみ氏のアシスタントを経て、2007年に独立。雑誌やテレビ、広告などで活躍するほか、母校の女子栄養大学で調理実習の講義も受け持ち、料理の「なぜ」「わからない」をわかりやすく教えることが得意。著書に『はじめてのストウブ』(池田書店)、『1日でつくれるおせち』 (主婦の友社)など。

文:星野一樹 写真:鈴木泰介