カレーにスパゲッティに肉丼だって、出汁がら昆布を使えば、昆布の力(しかも出汁がら)で、いつもよりちょっとおいしく、ボリュームもアップします。お正月に捨てないでとっておいた出汁がら昆布、みんなが集まったときのガッツリ昼メシに、大活躍しますよ。
年末年始のご馳走三昧に疲れたあなたに捧げます。
明日の昼ごはんに悩まなくて大丈夫。
鍋に材料を全部入れたら、火にかけるだけですから。
あっという間にサバ缶カレーのでき上がり。
サバ、昆布、カレー、合うわけがない組み合わせが見事にまとまります。
道東の漁協の婦人部のみなさんが、気軽に昆布を食べてもらおうと「カレーに昆布」を紹介しているのを見かけてそれアリ!と思いついたレシピです。昆布がカレー味に負けないということは大発見。カレーの具になった昆布がまるで野菜のような存在感に。料理教室で「急ぐときのお弁当メニュー」として紹介したら、生徒さんたちに大好評でした。サバ味噌煮缶を使っているから、これ、冷めてもおいしいんです。
サバ味噌煮 | 1缶(缶詰) |
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出汁がら昆布 | 20g(食べやすい大きさに切る) |
カレー粉 | 小さじ2 |
米油 | 小さじ2(またはサラダ油) |
醤油 | 小さじ1 |
黒胡椒 | 少々 |
食パン | 4枚(8枚切り) |
食パン以外のすべての材料を鍋に入れる。開いた缶に水を入れて注ぎ中火にかけ、10分ほどソース状になるまで煮たら、サバ缶カレーのでき上がり! ここで昆布が硬ければ、水を足してさらに煮る。味をみて、甘いようだったらカレー粉を足して調整しよう。
①の鍋から昆布を取り出し、食パンにのせて、その上にサバカレーを盛る。もう1枚食パンでかぶせて、ホットサンドメーカ―で焼く。そのままサンドイッチにしてもよし!
見た目はいつものミートソーススパゲッティ。
でも食べると 「ん?なに?」って、驚きの声があがります。
隠し味はウスターソースと粒マスタードを煮詰めて、ビネガーの酢で昆布を柔らかく仕上げたスパイシーな昆布佃煮。
トマトと昆布に含まれるグルタミン酸で、ダブルの旨味はパンチあり。
食べごたえ十分の肉々しいミートソースです。
ミートソースのルーツ、イタリアのエミリア=ロマーニャ州の本場で教わったつくり方に昆布をプラスしました。サルシッチャ(ソ-セージ)をつくるように挽き肉を練ってから仕上げると、がっつりした食べごたえに。ちょっと不思議な後を引く味わいなのは、スパイシーな昆布佃煮。サルシッチャに使うスパイスやハーブの代わりに、ソースや粒マスタードでスパイシーな風味を足して、味わいに奥行きを出すように仕上げています。この昆布佃煮、細切りにしてつくれば、そのままで酒のつまみにいけますよ。
出汁がら昆布 | 40g(みじん切り) |
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ウスターソース | 大さじ1と1/2 |
粒入りマスタード | 大さじ1 |
合い挽き肉 | 150g |
A 粗塩 | ふたつまみ |
A にんにく | 1片分(みじん切り) |
A 黒胡椒 | 適宜 |
A エルブドプロヴァンス | ふたつまみ(乾燥ミックスハーブ) |
トマト水煮缶 | 1缶(400g) |
オリーブオイル | 大さじ1と1/2 |
スパゲッティ | 230g |
フライパンに刻んだ出汁がら昆布とウスターソース、粒入りマスタード、水150mlを入れて中火にかけ、水分がなくなるまで煮詰めて、容器に取り出しておく。
フライパンに挽き肉とAを入れ、粘りが出るまで練ってから水大さじ1/2を入れてさらに練る。空いたところにオリーブオイルを加えて中火にかけ、肉が焼けてきたら木べらで不均一にほぐす(塊があってもOK)。肉全体に完全に火が通ったら、①のスパイシーな出汁がら昆布佃煮を入れる。
トマトの水煮と水50mlを加えて、中火で15分ほどソース状になるまで煮詰める。茹で上がったスパゲッティにソースをからめたら、皿に盛ってでき上がり。
冷蔵庫に残った野菜に挽き肉と、あとは出汁がら昆布だけ。
特別な材料はなんにもなし。
野菜と昆布を食べやすく切るのが、おいしくつくるコツ。
昆布は、野菜となじむように、2cm角くらいに。
冷凍ストックした出汁がらを使う場合は、解凍して絞ってからハサミで切るとラクチン。
ああ、今日何食べる?っていう気分のときにぴったりです。
冷凍した昆布を使う場合は、解凍してしっかり水分を搾ってから使ってくださいね。
料理教室で紹介すると、リピートしてつくる人続出のレシピです。イベントで提供したときは、3時間で150食完売したことも。食べやすくてボリューム満点。子供からおじいちゃんまで、家族みんなが喜ぶと好評です。ほかにもブロッコリーや牛蒡など、冷蔵庫にあるもので。春はスナップエンドウや菜の花、夏はズッキーニや茄子など、季節の野菜を使ってください。なんでも合いますよ。
豚挽き肉 | 100g |
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粗塩 | ひとつまみ |
ピーマン | 1個 |
れんこん | 50g |
ミニトマト | 200g |
出汁がら昆布 | 30g(2㎝角に切る) |
米油 | 大さじ1(またはサラダ油) |
A 醤油 | 大さじ1 |
A 味噌 | 小さじ1 |
A 酒 | 小さじ1 |
A 一味唐辛子 | 適宜 |
ごはん | 茶碗2杯分 |
一味唐辛子 | 好みで少々 |
ピーマンは細切りに、れんこんは粗みじん切りに、ミニトマトは半分に切る。フライパンに米油をひき、出汁がら昆布、れんこん、ピーマンを広げるようにのせたら、挽き肉をパックごと入れて、塩ひとつまみ。触らずにそのまま蓋をして中火にかける。1〜2分して肉の表面の色が変わったら、ここではじめてヘラで全体を崩しながら混ぜて、炒める。
肉に火が通ったら、トマト、水100mlを加え、Aの調味料を入れて10分ほど煮て、水分を完全に飛ばす。好みで一味唐辛子で味を整えて、ごはんを盛った器にたっぷりのせたらでき上がり!
北海道生まれ、北海道在住。料理研究家。札幌で北海道の食材を使ったイタリア料理教室「クチナイト」を主宰。つくりやすいレシピが評判で、北海道の食の伝え手として、地元のメディアやイベントで活躍。2016年日本昆布協会昆布大使に任命されたことを機に、えりも町、羅臼町、根室市など北海道中の産地を巡り、さらに富山、大阪、沖縄など、北海道から昆布が運ばれた「昆布ロード」の中継地点を訪ねる。各地の食文化と結びついた昆布食の聞き書きを続けている。1月にはパリで開催中の「ジャポニスム2018」で、昆布出汁のプレゼンテーションを行う予定。
文:神吉佳奈子 写真:長野陽一