出汁をとったあとの出汁がら昆布。みなさんはどうしてますか?食べてもおいしいうえ、栄養もあります。じつは、いろんな料理に使えます。昆布大使の松田真枝さんに、びっくりするくらいカンタンな活用術を教わりました。出汁がらを、どうか捨てないでくださいね。
野菜にほんのり出汁がらからしみ出る塩味に、ソーセージの旨味、仕上げにカレー粉をふれば、あら不思議。塩をふらなくても十分満足。
出汁がらなのに、素材の底上げをするなんてエライ!朝から野菜たっぷり、減塩ごはんで体が軽くなる。
刻んだ昆布をよく噛むことで、脳を刺激して頭もしゃっきり。パンのおかずにはもちろん、ごはんだってすすみます。
高齢の母が食べやすいだろうと、昆布と野菜を刻んで蒸したら、お腹の調子がよくなったと聞いて、毎日せっせとつくっているうちに、今では我が家の朝の定番です。旨味の出るソーセージとマッシュルームは必須。キャベツにピーマン、小松菜、大根、蕪の皮だっていい。カラフルな色を組み合わせるように意識して野菜を選ぶと、バランスがいいです。
ソーセージ | 3本 |
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マッシュルーム | 3個 |
好みの野菜 | 合わせて100g(今回はにんじん1本と小松菜50~60g) |
出汁がら昆布 | 10~15g |
オリーブオイル | 大さじ1 |
カレー粉 | 小さじ1/8 |
出汁がら昆布は細かく刻む。ソーセージは輪切り、マッシュルームは薄切りに。にんじんはスライサーで細切りに、小松菜は小口切りにする。どんな野菜も細かく刻んで、味が染み込みやすいよう均一に。
フライパンにオリーブオイル、ソーセージ、出汁がら昆布、マッシュルームを順に重ね、その上に野菜をのせる。水100mlを注ぎ、蓋をして中火で4分加熱。蓋を開けて水分がなくなってきたら、仕上げにカレー粉をふる。軽く混ぜて皿に盛り、パンを添えて。味がどうしても足りなければ塩少々ふっても。
インスタントラーメンが、出汁がら昆布でなんとなくおいしくなる(気がする?)。
とりわけ濃い出汁が特徴の羅臼昆布があるときは、ぜひ試してほしい。
その力強さは出汁がらでも本領発揮。
麺を入れる前にひと口すすってみると、はっきりとわかるはず。
粉末スープは一袋使わず、半量くらいで十分おいしいんです。
だから、なんとなくのようで、なんとなくじゃない!
羅臼の漁協組合長に「カップ麺のお湯を注ぐときに昆布入れてみて」と言われて、やってみたらもうびっくり。カップ麺を超えたカップ麺になったんじゃないかと(笑)。羅臼昆布の出汁がらは柔らかいので、汁を吸っていくと海苔みたいになります。麺が見えないくらい昆布をたっぷり使うと、ボリュームアップして、満腹感がさらに出ますよ。
インスタントラーメン | 1袋(塩) |
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出汁がら昆布 | 15~20g(あれば羅臼) |
好みの具 | 適宜(今回はゆで卵、長ねぎ) |
白胡椒 | 少々 |
鍋に水と2㎝角に切った出汁がら昆布を入れて、沸かす。
麺を投入。表示の時間通りにゆでたら、粉末スープを半量だけ加える。ここで味をみて足りないようであれば、少し足して。ゆで卵、長ねぎなど好みの具をトッピングしたら、白胡椒をふって、さあどうぞ。
出汁がら昆布をフライパンで焼くと、パチパチとはぜて、香ばしい香りがたちまちに広がる。
お好み焼きに貼り付ければ、カリッと焼いた香ばしさがアクセントに。
出汁がらは“かす”じゃありません、まだまだ仕事してくれます。
昆布に水分が残っていると、焼いたときにはぜるので、しっかり水分を拭き取ることをお忘れなく。
北海道に、関西のお好み焼きを広めた「風月」という店があって。道産子のお好み焼き好きはいるんです、意外と。私は山芋や出汁を生地に入れないのが好きなので、今回もシンプルに。香ばしい昆布を貼り付ければ、北海道風お好み焼きのでき上がり。ビールがいくらでも飲まさる~(北海道弁でいくらでも飲めること)。
キャベツ | 50g |
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豚バラ肉 | 2枚(薄切り) |
薄力粉 | 大さじ3と1/2 |
卵 | 1個 |
塩 | ひとつまみ |
出汁がら昆布 | 15〜20g |
米油 | 適宜 |
ソース | 適宜 |
キャベツはなるべく細かいせん切りに。豚バラ肉は長さを半分にする。出汁がら昆布は、2㎝角にハサミで切る。出汁がら昆布の水分を拭き取っておくこと。
ボウルに薄力粉、卵、塩、水大さじ3と1/3をしっかりと混ぜたら、キャベツを加え、空気を含ませるように大きく混ぜる。ふわりとした生地を焼くにはこのひと手間が大事。
フライパンに米油を引き、出汁がら昆布を広げる。昆布の上にのせるように豚肉を広げ中火にかける。②の生地を広げて中弱火にする。ひっくり返して両面が焼けたら、昆布を上にして皿に盛り、ソースを塗ったらでき上がり。お好みでマヨネーズや七味をかけてどうぞ。
北海道生まれ、北海道在住。料理研究家。札幌で北海道の食材を使ったイタリア料理教室「クチナイト」を主宰。つくりやすいレシピが評判で、北海道の食の伝え手として、地元のメディアやイベントで活躍。2016年日本昆布協会昆布大使に任命されたことを機に、えりも町、羅臼町、根室市など北海道中の産地を巡り、さらに富山、大阪、沖縄など、北海道から昆布が運ばれた「昆布ロード」の中継地点を訪ねる。各地の食文化と結びついた昆布食の聞き書きを続けている。1月にはパリで開催中の「ジャポニスム2018」で、昆布出汁のプレゼンテーションを行う予定。
文:神吉佳奈子 写真:長野陽一