
dancyu食いしん坊倶楽部メンバー×立ち食い蕎麦の新企画!第2回は、開店1年足らずで立ち食い蕎麦好きの心を掴んで離さない、高田馬場「立ち喰いそばうどん 松石」のユニークな蕎麦を実食。
dancyu食いしん坊倶楽部メンバーと立ち食い蕎麦の隠れた名店や実力店を巡っていく企画。第2回も「立ち食い蕎麦はつゆの美味しい店が好みです」という倶楽部メンバー「旅するお菓子やさん」と一緒に、高田馬場「松石」にお邪魔しています。
“松汁”と銘打った香り高く澄んだ味わいのだしに、かえしを使わず鹿児島の甘口醤油だけでつくるかけそばや、1kg=5000円する沖縄の塩を贅沢に使った塩そばなど、「松石」のつゆはつくり方も味わいも独特。
麺の種類をこれだけ多く使い分けているのも「松石」ならでは。「麺はすべて『むらめん』の麺を使っています。こんなにつゆの種類や食べ方を増やしておいて、それを全部同じ麺で食べさせるというのがなんか嫌なんですよね。もちろん麺の種類は自由に選んでいただけますが、初めてのお客様には『このメニューにはこの麺を』という感じでお薦めしています」(石田さん)
石田さんの自由な創造性をより感じられるのが、冷やしメニュー。冷やしたぬきは、濃いめの醤油つゆに殻のまま製粉した“田舎蕎麦”の太麺を合わせ、まぜそばのように食べる。「ちょっとみたらし団子に近い濃厚な味!蕎麦とつゆのバランスは、この冷やしたぬきが一番好みかもしれない。自家製の揚げ玉が大きくて、かき揚げとか他の天ぷらのかけらがちょっと混ざってるのも最高です(笑)」(旅するお菓子やさん)
さらにびっくりなのは、出汁かき氷そば。なんと自慢の松汁をかき氷にして、麺の上に山のようにのせた驚愕のビジュアル!別皿でついてくる海苔の佃煮・卵黄・揚げ玉・ねぎをよく混ぜたタレを(あたかもシロップのように)かき氷にかけて、麺とよく混ぜて食べる。「だしをそのまま凍らせてるから、溶けても味が薄まらないのは発明ですよ。麺はキンキンに冷えてて、締まりがすごい!こんな食感の蕎麦を食べるのは初めてです(笑)」(旅するお菓子やさん)
「実は僕、もともと冷やしそばに興味がなくて、ぜんぜん食べたことがなかったんです。だけど、お客さんから冷やしも食べたいと要望があって。いろいろつくってみて、これなら自分も食べたいなって思うものだけを出してます」(石田さん)
この他にも、ニラがどっさりとのったスタミナそばや、胡麻と豆乳を加えた白い松汁そばなど、個性的なメニューが並ぶほか、「今年の冬には鍋焼きうどんも出してみたい」と、石田さんの発想はまだまだ尽きない様子。これはもう、毎日通ってでも全メニュー制覇してみたい!オリジナリティにあふれていながら、立ち食い蕎麦ならではの満足度もしっかり満たしてくれる「松石」なのでした。
文:宮内 健 写真:編集部